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Fukushimatoukoukai HomePage
No.4006
南沢 阿武隈川源流
山行種別 無雪期沢登り
みなみさわ 地形図 甲子山


■山行期間 2007年7月21日
■コースタイム 福島(6:20)=福島西IC=白河IC=甲子温泉大黒屋(8:00,8:20)→本谷入渓(8:30)→南沢出合(8:45)→二俣(11:05)→奥の二俣(11:50)→登山道(12:40)→山頂(12:55,13:15)→甲子温泉大黒屋(14:10)
■写真
F4をリードする F5を登る 30mの大滝(F9)

■行動記録
曇り時々雨
 福島を縦貫する阿武隈川の源流の一つ、南沢を登ってきた。標高差約600mあるが水平距離は約2.5qと短い。手頃な滝が連続し一気に稜線へ突き上げる沢で、今後の山行のために登攀訓練も兼ねて計画した。メンバーのMさんとTさんはルート経験者なので心強い。
 前日の夕方から梅雨前線の影響であいにくの雨模様。福島市では早朝に強雨となったので今週もだめかと思ったが、アメダスによると白河ではほとんど降水量がない。予報でも1o程度の降水量で、長くは続かないとのこと。とりあえず予定通りに現地に向かうことにした。
 甲子温泉で会津若松からのTさんと合流し、早速に出発。国道を少し歩いて右手の踏み跡に入る。本流に新たに架けられた橋の下になるが、新しいガードレールでわかりにくくなっている。本来ならばそのまましばらく進み、南沢出合付近で沢に降りるのだが、すぐに右に降りていく踏み跡に入ったため、出合より300mほど下流で入渓。本流はさすがに水量が多い。へつりなどを少し楽しむと大きな堰堤が見えてくるので、踏み跡のついた左岸を巻く。上は広い川原となり、すぐに南沢出合である。南沢の水量は問題ないようだ。天気も小雨がぱらつく程度なので遡行可能と判断する。
最初は期待感の湧かないゴーロ歩きだが、10分もしないうちにF1(10m)が立つ。傾斜の緩い下部で水線を横切り、右側を登る。初っ端なので固くなったが、易しく、ロープは出さない。冷たい水しぶきがかかる。
 次に出てくる7mのF2は直登するか巻くか迷うところ。巻きは泥混じりの右側壁を登るか、同じく右側を少し手前から登る。4mくらいの懸垂か草付のクライムダウンが必要になる。泥壁の途中には木のテラスがあるが、そこから上が垂直に近く、強引に残置スリングをつかんで登るしかなさそうだ。直登の場合は水線の右側にルートを取る。ルートの途中に残置ハーケンとスリングがあったので、今回はロープを出して直登してみることにする。泥付のいやらしさはないが、岩が脆くかつ逆層気味なのと、ホールドが乏しい部分があるので緊張感を強いられた。
 左から枝沢が入り、3mの斜瀑を越えると8mのF3。右の草つき混じりの脆い岩壁を登る。草と泥をかき分けてホールドを探るという感じで、思ったよりいやらしく、念のためロープを張ってプルージック登攀した方がよいだろう。次の7m滝は残置があり、直登する。左へのわずかなトラバースでは慎重なバランスが要求される。また、最後の滝の落ち口ではしっかりしたホールドとスタンスに乏しく、添え足でごまかすなどして登る。この日のうちでもっともしょっぱい滝だと思う。
 渓相はゴルジュとなり、小滝をいくつか越える。再び開けると12mのF5が現れる。これは簡単に直登できる。間もなく二俣となり小休止を入れる。
 二俣を過ぎて左から枝沢が入り、さらに次の二俣のところから顕著なゴルジュになる。その出口には30mの大滝。高さに圧倒される。ホールド、スタンスともに豊富で、左から巻き気味に登りだし、残置ハーケンのある中間部から右側へトラバース。そのままカンテ状を攀じ登る。難しい動きは必要ないが、高度感で足がすくみそうになる。不安な人がいる場合はロープを使った方がよいだろう。
 奥の二俣に到着すると、詰め上げる地形を考えながら分岐の選択を行う。奥の二俣を右に進むと甲子山にダイレクトに突き上げるが、直下はガレたスラブらしく、そこを避けてトラバースすると結構な藪漕ぎになる。私たちは左俣に入る。すぐ次の二俣では水量の多かった左を選択したが、こちらは標高1400mちょっとで源頭になる。長い藪漕ぎになるかと思われたが、先の分岐の右から続く流れを発見し、再び沢を詰める。左右から覆いかぶさる笹をかき分けなければならないが、はっきりとした沢状が続く。塩ビ管から取水できるようになっている水場があり、10m上に標識があり登山道が走っていた。まともな藪漕ぎはなしだった。
 飛び出した登山道は2003年頃に整備された甲子山山頂から坊主沼を結ぶ新道で、旧道よりも南沢寄りに付いている。そこから10分の山頂で大休止したら、足早に甲子温泉へ下る。大黒屋で汗を流し、岐路に着く。短い流程で次々と滝が現れる沢に大満足の山行だった。詰めの藪と下山路が短いので体力的には手頃だ。ただし滝はやや難しいところもあるので、直登か巻きかの判断はしっかりしたい。また初心者がいる場合や人数が多い場合は、ロープを出す分の時間を多めにみるべきだろう。(M.J.)

■遡行図


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