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Fukushimatoukoukai HomePage
No.4019
八久和川・中俣沢 八久和川源流
山行種別 無雪期沢登り
やくわがわ・なかまたさわ 地形図 朝日岳、大井沢


■山行期間 2007年8月16日〜19日
■コースタイム 8月16日 福島(20:00)=山形中央道=バカ平(22:00)
8月17日 バカ平(6:20)→雨量観測小屋(8:35)→天狗角力取山(9:05)→出谷川出合(10:15)
8月18日 出合(6:50)→呂滝(9:25)→西俣沢出合(11:00)→15m滝(13:00)→S字状峡谷巻き終(16:00)→二俣(16:20)→奥の二俣(17:35)→狐穴小屋(18:20)
8月19日 小屋(6:50)→二ツ石山(8:35)→天狗角力取山(9:55)→バカ平(12:30)→福島
■写真
コマス滝のゴルジュ 呂滝 中俣沢入り口の滝
瀞の続く中俣沢 泳ぎ 大滝を登る
最初のスノーブリッジ 2番目のスノーブリッジ S字峡
上部連瀑帯 最後のスノーブリッジ 上流部にはニッコウキスゲ
源流のナメ 登山道に飛び出す やっと釣れた岩魚

■行動記録
8月17日 天気 雨
 八久和川に憧れ、遡行するために、沢の技術を学ぶべく山岳会に入り、先輩方に教えてもらい、そして自分でも訓練をして少しずつ技術を磨いて苦節10年。何回か計画したが、事故や、多雪、雨で挫折して今回やっとバカ平にたどりつくまでに漕ぎつけたが、無常にも昨夜半から雨が降りだした。
 今回もダメかとあきらめかけたが、若いメンバーMYさんの“出合に行って泊まりましょう”の言葉に勇気づけられ、雨具を付けて出発。MYさんに引きずられ、予定より1時間以上早く出合に着いたが、川は増水して水音高く流れている。底石は見えるが遡行はとても出来る水量ではない。
 雨の中、出合のテン場にタープを張る。雨が小降りになった時にOMさんが濡れた小枝を集めて火をつけたらマキが燃え出したのには驚いた。雨中焚き火を楽しんでいたら15時頃雨もやんだので焚き火の周りに集まり、くつろぐ。明日は川に足を少しでも浸したいなと願いながら蚊の猛襲のなか眠りにつく。
8月18日 天気 晴れ後小雨後晴れ
 蚊を防ぐためシェラフカバーをすっぽり被って寝ていたが、目を覚まして顔を出したらなんと青空が見える。
 慌てて起き上がり朝食の準備をしながら相談する。平水から10cm程度まで減水しているし、天気も良い。遡行は可能。ここで私たちの先輩が若い頃遡行した記録を参考にした。1泊して合計11時間かけ、遡行を終えているのが、もし、私たちの遡行スピードが先輩と同じなら今の季節18時まで行動出来るので今日1日で遡行可能と判断した。遡行スピードを計るため呂滝、あるいは西俣沢まで遡行し、遅ければ、ウシ沢を遡行して、帰る。或いは東俣沢を遡行して帰る、こととして慌しく出発。
 憧れの出谷川に浸る幸せをかみしめつつ左岸を進む。オツボ沢から始まるゴルジュは左岸の巻き道をたどる。巻き道は一旦オツボ沢に降り、更に、左岸に続いてゴルジュを全部巻いている。大淵の右をヘツルとウシ沢が出合いコマス滝になる。右岸に巻き道がありこれを利用して越える。ここまでのタイムは先輩方よりも早いくらい。広い河原が狭まると呂滝。左を巻くと続いて弁天岩滝。湯ノ沢に入ると90度曲がる所に滝があり、そこから巻き道があるのでそれを利用する。泳いで淵を越え、ゴルジュを左から巻き、淵を胸まで浸かって越えると西俣沢出合。まだタイムは良いのでさらに先に進む。ゴルジュは膝上くらいで通過。中俣沢の出合の6m滝から滝と淵が連続する。先輩方がビバークしたと思われる地点を通過すると6m滝。泳いで取り付き、越える。TYさんの補助ロープが大活躍。15mの滝は左側を空身でハーケン1枚打って、ブッシュに支点を取り、越える。もっと滝身に近いほうに残置があったがそのルートはとても登れそうにない。13時に到着したが、先輩方はここから5時間程度で抜けているが、ここまで同じような遡行スピードなので18時の明るい内に抜けられると判断し気合が入る。
 次の6m滝も泳いで取り付き、5m滝の左を巻くと最初の雪渓が現れる。下を小走りに通過。しかしこの頃から雲行きが怪しくなり、小雨がパラつく。10m滝を越えると、又雪渓。これも下を潜る。8m滝の右を巻き、次の大淵を伴った8mの滝は右をヘツッて越えると右岸から50mぐらいのナメ状の滝を掛けて小沢が合わさる。いよいよS字狭の始まり。
上部には雪渓が見え隠れする。8m滝は右側を空身でハーケン1枚打って登り、残置を利用して落ち口に下降し、6m滝の左を越えるが、5m、20mと続く連瀑と雪渓を避け、右岸の高巻きに入る。リードするT Yさんの判断がよく、50分程でルンゼを利用して本流に戻れた。ここから上部の連瀑帯が望め、もう少しと気合を入れ直す。一時強まった雨脚も弱まり、ほっとしたら、今度はブヨの猛襲。ハッカ油を塗るとサットいなくなったが、行動しているうちに効果は弱まり大分刺される。
 程なく、二俣。ここからの連瀑帯を判断良く登り、巻いて17時に通過。ここまでくればもう大丈夫と安堵感がこみ上げる。源流のゴルジュの小滝を楽しく越えていくと最後の雪渓。薄暗い下を潜ると草原に咲く花が我々を歓迎してくれる。ニッコウキスゲや春の花のチングルマだ。疲れもあり、又、この風情を楽しむため、しばし花畑で休息。空も青くなり、緊張感がほぐれて、気持ちが柔らかくなっていく。
 濡れた体が寒さを感じて来た所で行動再開、足の幅程になった溝をたどり、小屋脇の木道に出て予測通り、18時20分に小屋に入る。外はまだ明るい。
 今回は、好奇心旺盛な強力メンバーに助けられ念願を果たすことが出来た。幸せホルモンがたっぷりで出て来て頬がゆるみっぱなし。たった1本の缶ビールでとっても幸せな気分になれた。
8月19日 天気 曇り。
 小屋の外に干しておいたザイル等の装備品が、霧で濡れ、沢の中より重くなったものをザックに詰め込む。虫に刺された瞼が腫れ、目が開かない。仲間にダウン寸前のボクサーと冷やかされる。
 お風呂と、赤湯名物のラーメンを楽しみにひたすら下るが、天狗角力取山まではアップ・ダウンがきつくて辛かった。
 予定より早く下山できたので、大井沢温泉の風呂に浸かり、さっぱりし、辛子味噌ラーメン目指して帰途につく。(M.M)

■遡行図


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