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No5128 |
梅花皮岳 |
2000mピーク |
山行種別 |
積雪期一般(残雪) |
かいらぎだけ |
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山行期間 |
2015年5月31日(日) |
コースタイム |
天狗平(6:44)→温身平(7:01)→うまい水(7:44)→地竹原(8:00)→梶川出合(8:18)→石転ビノ出合(8:50)→ホン石転び沢出合(9:32)→板回収(11:58)→梅花皮岳(12:25)→梅花皮小屋(12:58,13:16)→石転ビノ出合(14:05)→梶川出合(14:27)→地竹原(14:50)→温身平(15:48)→天狗平(16:08) |
写真 |
写真は拡大して見ることが出来ます |
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登山届出所 |
湯沢ゲート |
温身平の注意喚起看板 |
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下ツブテ岩 |
登山道崩落箇所にはロープがあった |
地竹原手前の河原 |
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地竹原先の雪渓 |
夏道から見下ろす(対岸は滝沢出合) |
穴が開き始めた梶川出合 |
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雪渓の崩壊が進んでいる |
石転ビノ出合 |
石転び沢 |
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ホン石転び沢出合 |
ホン石転び沢は落石が増えた |
ガスが薄れて稜線が見えた |
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時折日が差すようになった |
山頂まで残り90mほど |
突然板が現れた |

山頂に到達 |
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板の発見箇所 |
5月24日の斜面(A氏撮影画像)このどこかに板が埋まっていたと思われる |
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ミネザクラ |
ハクサンイチゲ |
オヤマノエンドウ |
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梅花皮小屋 |
石転び沢を下る |
ホン石転び沢出合 |
行動記録 |
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23日のホン石転び沢滑降でスラフに流され落とされた際、右のスキーが外れ板を見失ってしまった。板納めに行って板を納めてしまったと自虐的に言っては見たものの、内心は当然に悔いが残っていた。このままでは終われない、板を山中に残したままにしたくないとの思いがあった。スキー板の捜索に行くのなら、雪渓の状態の良い早いうちだ。雪渓が融ければ融けるほど捜索は困難になるどころか危険が増す。何とか6月中旬までには行きたいものだと思った。5月末日の31日は天候が良くない予報だったが、まずまずの予報に変わってきた。天狗平までの町道が29日に開通したとの情報もあり、この日を逃してはとの思いが自分を後押しした。急なことでもあり同行者は見つからなかったが、単独で回収に向かうことにした。単独ゆえ無理はできないが、やれるだけやってみようと。それでダメなら諦めもつく。
湯川ゲート手前の駐車場に車を置く。自分以外には1台のみ。その他に飯豊山荘の駐車場に数台、登山届出所の向かいに1台停めてあった。車が少ないのは今日の天気が良くないからだろうか。雨がパラパラ降っているので合羽を着る。昨日開設されたばかりの登山届出所で、備え付けの用紙に記入する。6時44分に湯川ゲートよりスタート。もはや温身平までの林道にはまったく雪がない。前後を見ても登山者が自分のみ。ほどほどの雨は嫌いではないが、さりとてモチベーションも上がらない。
登山道を歩いていくと、やがて登山道崩落個所。29日にロープが張られていて、地元の方の努力に感謝したい。しかし、梅花皮沢まで切れ落ちている斜面には不安定な落石や倒木があり、通過には細心の注意が必要。尻込みして通過できない登山者もいることと思われる。8:00過ぎに地竹原の先から雪渓に降りる。沢は本流部分が大きく口を開け、どんどん崩壊が進んでいる。何とか歩けそうにも見えたが、単独でもあり夏道を歩くことにする。途中で下を見ると、雪渓を歩いてくる後続のパーティーに気付いた。見ている方が不安になってくる。梶川出合のすぐ下で夏道から雪渓に出る。ここだけは雪渓の上を渡らなければ前に進めない。覚悟を決めて雪渓の上を渡る。
8時50分石転ビノ出合で休憩。雨が止んだのでカッパを脱ぎTシャツ1枚になる。石転ビノ出合から見上げる石転び沢は、少し茶色のデブリが増えた程度で1週間前からは大きな変化がないように見える。しかし、登っていくと雪面があちこちでうねり始めていて、やはり雪解けは確実に進んでいることに気づく。ホン石転び沢出合に近づいたので斜面を観察。出合近くの斜面には、先週はほとんど無かった落石が目立つ。ここからアイゼンを付けピッケルを持つ。
出合からホン石転び沢へ入り、落石に注意しながら登っていく。落石は音もなく落ちてくるので気を抜けない。常時斜面の上を注視しながら登る。ラインは落石の集中する中央は避け右岸寄りにする。上部はガスがかかって見えないので余計に気をつかう。登るに従い斜面の落石が少なくなり少しホッとするが、今度は斜度が増してくる。斜面にはあちこち新しいクラックができているので、板が落ちてないか覗き込みながら登高を続ける。そのうちガスが飛んで青空が時折見えるようになり、山頂も見えてきた。見上げる斜面には板らしきものは見あたらない。斜度はいよいよ急になり、絶対にステップを踏み外せない角度になる。自分の古くて重いピッケルを斜面に深く突き刺す。こういう場面では軽量なピッケルより信頼感がある。しかし、もう片手はストックなので心許ない。ダブルアックスを借りてくれば良かったと思ったが後の祭り。はたと閃きストックのスノーバスケットを外し、斜面に突き刺すと深々と刺さる。これでかなり安心感が増した。
慎重に登りながらも目は常に斜面を探している。山頂も近づきやはりダメかと思っていると、すぐ上の斜面に突然スキー板が現れた。本当に突然現れたように思え、我が目を疑うとはこのことかと思った。よく観察すると背の低い板は斜面の微妙な起伏で下からは見えないようで、よくよく近くに来て初めて見えるという状況だったのだ。板はトップを下にして、今にも滑っていきそうな姿勢で斜面に止まっている。スキーブレーキの先端でかろうじて引っ掛かっているのだ。よくぞ止まっていてくれた。落とさないようにそっと持ち上げる。そのまま小さなクラックの段差まで登りひと息ついた。
ストックの代わりにスキー板を持ち、50〜55度もある最後の斜面を登る。やがて雪が消えるとブッシュを頼りに登り、山頂に到達することができた。回収に無事成功、やっと緊張の糸がほぐれる。沢登りであればこんな感じの詰めは往々にしてあるが、さすがにアイゼン・ピッケルと板を持ってというのは初めてだった。さて、風が強いし長居は無用。スキーを乗せたザックを担ぐと梅花皮小屋まで下り、ひとり静かに昼食とした。帰路は石転び沢を下る。斜面には落石も増えガタガタになり始めている。石転び沢でのスキーもそろそろ終わりのようだ。
今回は運良くスキー板を回収することができた。本当に運が良かった。さらに1週間後であれば、板があの位置に止まっていることはなかっただろう。滑り落ちて下流のシュルンドに落ち込めば発見は困難。いずれにしても、もうこんな登攀は2度とやりたくないというのが本音だ。さて、これで自分の山スキーシーズンもすっきりと終了することができる。次のシーズンインまで半年間のインターバルだ。(K.Ku) |
概念図 |
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ルート図 |
登り=赤 下り=青 |

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