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No.4316
安達太良山・冬合宿
1699.6m二等三角点峰
山行種別 山スキー
あだたらやま・ふゆがっしゅく 地形図 安達太良山

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山行期間 2010年1月9日〜11日

コースタイム
1月9日(土) 奥岳(9:48)→烏川橋(10:22)→小休止(10:32,10:40)→八の字(11:12,11:20)→勢至平・峰ノ辻分岐→テン場(11:57) +ビーコン捜索訓練
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奥岳のあだたら高原スキー場が出発点 ゲレンデから脇へ入り馬車道を進む 勢至平手前、馬車道と合わさる「八の字」
2晩お世話になるテン場の整地 テントを張りブロックで風避けを作る ビーコンのピンポイント捜索を繰り返し練習するKくん
行動記録
1月9日 天候 曇り時々雪
 今日から3日間の訓練合宿が始まった。目的は初心者のための生活技術と基礎技術の練習、会員は経験者も含めて全員参加が原則だが家庭や仕事の関係で、全員が顔を合わせることはまず無い。今回も初日から参加するのが8名、2日目に2名、3日目が2名の予定だ。
 朝、7時30分にSさん宅に集合する。最初から問題発生。テントを忘れたKくんは大幅遅刻。Yさんは、お父さんが前日に急に入院しドタキャンすることになった。それでも集合場所へは早めに来て、半加工して準備してくれた夕食の具材と共同装備をみんなに託してから病院に戻った。忙しいのに大変ご苦労さまでした。(全員が感謝、感謝)そんなわけで出発は1時間ほど遅れてしまった。
 Yさんの分の共同装備をみんなで分担し、出発点となる奥岳へ移動する。奥岳にある「あだたら高原スキー場」の駐車場は土曜日だと言うのに、あまり車は駐まっていなかった。3日間車を駐めておくので駐車場の右端へ駐車し、身支度をして出発する。安達太良の上部は雪雲に覆われて、小雪が舞っている。
 パトロール詰所の前を通り、ゲレンデから離れて馬車道に入る。気温は低いが、それでも烏川橋まで来ると一汗かく。橋を渡り登山道の別れまでくると、数日前のトレースが両方に残っていた。登りなので登山道を進むことにする。トレースはコースを外れて左の林の中へ向かっているが、登山道も歩けるだけの雪の量があるので、そちらへ進む。途中1回小休止を取り11時12分、八の字に着く。勢至平は風が強いので、風を避けての最後の休憩ポイントになる。ジャケットを着込んで完全装備になってから歩き始める。11時57分、勢至平・峰ノ辻分岐から八丁林方向(右)に入りテントを張ることにした。
 立っていられないほどの強い風が吹く勢至平だが、一歩林の中に入ると嘘のように風は弱まる。整地をし、担ぎ上げたテント2張りを張って風避けのブロックを立てた。これで快適な生活ができそうである。
 午後からはビーコン捜索の練習をした。持っているビーコンも様々なので、シングルアンテナとディアルアンテナとの違い、電波特性、ピンポイントで捜索方法などを勉強した。16時からは食事を作りながら天気図の作成をする。使っているコンロも725と8Rのガソリンコンロ、取扱については机上で練習してきたが本番でもスムーズに扱えるように練習する。Yさんの作ってくれた「親子丼」で夕食を囲み、初日を終えた。

コースタイム
1月10日(日) テン場(7:40)→峰ノ辻(8:58)→本山(10:02,10:20)→振子沢源頭(10:55)→テン場(12:02) +積雪断面観測、弱層テスト
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峰ノ辻手前の斜面 ホワイトアウト状態の峰ノ辻 牛ノ背から本山を目指す
本山下部は雪が柔らかかった 風とホワイトアウトの中、山頂で記念撮影 今回の合宿のリーダー
牛ノ背で再びスキーをつける 振子沢を滑ってから勢至平へ降りる 快適なテント生活2日目
行動記録
1月10日 天候 曇り時々雪、勢至平より上部はホワイトアウト
 天気図でも今日の天気は望めない。条件が悪いなりに予定どおり本山を往復することにした。テン場出発が7時30分のところ10分遅れて出発。勢至平の峰ノ辻分岐に直接出て、峰ノ辻経由で本山を目指す。
 勢至平からの登りは灌木がそのまま出ていて下りは滑りづらそう。もう少し雪の量がほしいところだ。灌木帯を抜け、篭山の北側の斜面に出るとバーンは堅くなるが歩きやすくなる。いつも合宿でテントを張っている振子沢左支沢の源頭は、まだまだ雪が少なくテン場を作るのが大変そうだ。峰の辻までくると標識は見えるもののホワイトアウトで、足元だけ見て前へ進む。矢筈の避難小屋跡を右に確認してから牛ノ背を目指す。船明神の分岐手前のピークに隠れると嘘のように風は無くなる。アウターをもう一枚着込み、顔を覆って完全装備で牛ノ背の稜線へ立つ。風は強い。
 エビの尻尾で歩きづらい稜線を本山に向かって歩く。山頂手前の大岩の蔭にスキーをデポし、坪足で本山に登る。アイゼンは持ってきていないのでステップをきちんと切って登っていく。鎖が一部出ていた。北側直下の雪は柔らかいので、恐怖感もなく山頂に立てた。風とホワイトアウトの中、みんなで写真を撮ってすぐに山頂下部南側のくぼ地で風を避けて休憩する。
 スキーをデポしてきた牛ノ背の大岩へ戻りスキーをつける。斜面が見えないのでシールは着けたままで行動する。船明神の分岐まで戻り、分岐のピークの南側に身を寄せて風を避ける。
 年末に遭難死亡事故があったばかりの安達太良だが、山の大きさが手頃とあって県外からの登山者も多く、ゴンドラで手軽に山頂に立てることもあって冬でも訪れる人は多い。しかし、吾妻山と比較しても、安達太良は風は非常に強く、好天に恵まれることは少ない。地形の複雑さは無いが遭難で死亡する例は多い。風から身を守れるポイントは何箇所かあるのだが、通い慣れていない登山者だと見つけることは難しいかなと思う。
 矢筈森の避難小屋跡あたりは風が強く、雪は地面にエビの尻尾状態で着いているだけで滑るに適さない。シールを着けたままでゆっくりと烏川右俣の源頭へ移動し、矢筈森の下部、振子沢源頭へとトラバースする。コンプレッションテストをすると、あまり安定していない。右の尾根上を滑り、傾斜が緩くなってから振子沢へ入ることにした。ホワイトアウトで斜面の角度が良くつかめない。滑るのを躊躇しているうちにトップのSさんが滑降を開始した。見えない中を良くやるものだ。あっと言う間に斜面下部まで降りてしまった。いつまでも待たせるわけにもいかないので次に続く。だが斜面の角度もつかめず、滑りを楽しむどころでは無かった。
 夏道が横切る所まで滑り降り、登ってきた勢至平からの登山道へとルートを取る。まだガスの中から抜けきれない。篭山の北斜面を慎重に下って灌木帯に入る。灌木帯を器用に縫って滑りテン場へは12時02分に戻った。同時刻、奥岳からOくんとSさんが登ってきて合流した。午後からは積雪内部の断面観測とコンプレッションテストの練習をした。
 どうもSさんが滑っているうちに肉離れを起こしたようだ。口うるさい(失礼、厳しい)ドクターから鎮痛剤を処方され、明日ドクターと下山することになった。またとない機会なのでスキーでの梱包搬出をしようと言う話も出たが、本人がどうしても勘弁して欲しいとのことで翌日の搬出訓練は無くなった。

コースタイム
1月11日(日) テン場(8:05)→峰ノ辻(9:05,9:10)→本山(10:20,10:40)→振子沢源頭(11:15)→テン場(12:10,13:00)→烏川橋(13:27)→奥岳(13:41)
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最終日は予想通り好天に恵まれる 勢至平から峰ノ辻を目指す 峰ノ辻では一瞬だが雪雲に覆われた
烏川右俣の源頭でコンプレッションテスト 後ろは本山のピーク 和尚山が綺麗に見える
山頂から牛ノ背へと移動する 牛ノ背から振子沢の源頭へ移動する 矢筈森岩峰の下部へ移動
広い斜面は振子沢の源頭 コンプレッションテストをしてから滑り始める 振子沢の快適な斜面
登山靴で良くぞここまで滑ってくれるものだ 好き勝手に斜面を滑り降りる こちらも登山靴組、この人たちは何でも履きこなしてしまう
ひと滑りしてから勢至平へと向かう 勢至平から後ろを振り返ると矢筈森がきれいに見える テントを背負って奥岳まで馬車道を滑る
行動記録
1月11日 天候 晴れ
 前日とは打って変わって絶好の登山日和になった。安達太良としては珍しい天気である。テン場を8時過ぎに出発し本山を目指す。峰ノ辻で一瞬雪雲に覆われたが、その後はガスも切れ山全体が見渡せるようになった。
 烏川右俣の源頭のトラバース地点でコンプレッションテストをした。結果はCTM(12)@5cm+、CTM(20)@32cm+、特に問題ないが上下に間隔を開けて平行状態に斜面に入らないようにして矢筈の避難小屋跡へと向かった。牛ノ背から本山へ移動し山頂に立ったのが10時20分、前日にくろがね小屋へ宿泊した登山者が、すでに登頂を終えて下山するところだった。
 久々の好天に恵まれて山頂に立つと、360度の大パノラマで、しばし見晴らしを楽しんだ。山頂直下で休憩してから、昨日と同じように牛ノ背を通り、振子沢への源頭へと移動する。
 振子沢の源頭では滑り出す前にコンプレッションテストをする。結果はCTE(3)@11cm+だったが、昨日の雪の上に吹き溜まったもので、実際に滑降する5mほど下部では斜面に弱層は無く、CTHで問題は無かった。
 メンバーが思い思いに滑り出す。YさんとKちゃんが履いているのはプラスチックの登山靴、登山靴でよくぞここまで滑ってくれるものだと感心する。快適なバーンもそう長くは続かない。沢が雪で埋まっていればくろがね小屋まで滑ることが出来るのだが、このところ満足に埋まったことがない。夏道が横切るところまで滑って、テン場へ向かって篭山の北斜面に入る。後ろを振り返ると矢筈森がきれいに見える。12時10分、テン場へ戻り昼食を取ってからテントを撤収する。肉離れをおこしたSさんとドクターはテントの内張、コッヘル、コンロなどみんなの共同装備まで担いで、すでに降りてしまったようだ。後から聞いた話では、Sさんは翌日には筋肉痛のふりをして職場に出勤したとのことでした。2月には一緒に八甲田に行く予定をしているので早い復帰を望むところです。
 テントを撤収し、テン場を更地にして13時ちょうど下山にかかる。荷下げとしてサポートに登ってきてくれたKくんとAさん、Yさんと一緒に、重い荷物を背負って馬車道を滑り降りた。今年のメンバーはザックを背負っても、特段気にすることもなくスムーズに滑り降りてしまった。烏川橋で少しだけ休んで、ゲレンデをひと滑りし13時41分、奥岳の駐車場へと戻った。


概念図



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