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No4749
蔵王・丸山沢
刈田岳 1758.1m三等三角点峰
山行種別 山スキー
ざおう・まるやまさわ 地形図

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山行期間 2013年3月30日(土)
コースタイム すみかわスキー場(9:20)=ゲレンデトップ(9:51,9:56)→刈田岳避難小屋(11:00)→熊野岳避難小屋(11:47,12:00)→休憩(12:16,12:43)→新噴気口(12:50)→濁川(13:06,13:17)→索道跡(13:49,14:12)→すみかわスキー場(14:56)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
すみかわスキー場のリフトを利用する あとみゲレンデトップ 中央コースを様々なパーティーが登ってくる
氷結しているお釜 最後尾に追いつく 緩斜面を源頭部へと移動する
一気に視界が広がる 右岸側の斜面へ ロバの耳岩(中央)と大斜面
大斜面を見上げる 「喉」を通る 「喉」の下で休憩
テレマーカーのSさん 通過には注意を要する 二つめの喉を通過
噴気が上がっている  丸山沢ツアーの面々 濁川へと少し登り返す
濁川へと少し登り返す ひよどり越えを直登する 索道跡に到着
熊野岳東面と丸山沢 新滝沢を滑る 今回の滑降ライン

行動記録
 今年は青森の酸ケ湯で国内最高を更新する566cmの積雪を記録するなど、各地で観測史上最大の積雪深となった。だがそれは日本海側や青森などのことであって、東北の太平洋側は逆に例年より積雪量が少ない。宮城蔵王もそうで、雪解けで地面が露出するのが驚くほど早い。いつもなら4月に入ってから考える丸山沢も、今年は既に終盤が近いという情報があり、これは急いで行かなければと週末の山行を考えていた。そこへNさんから丸山沢のお誘いメールが届いた。このほど北海道に転勤するメンバーの壮行山行だという。グッドタイミングとご一緒させてもらうことにした。
 前日泊まりがけの所用があり、集合に間に合わない自分だけ別行動となった。蔵王へ向かう車から見ると、刈田岳には傘雲がかかっている。晴れている平地とは違い、稜線はガスって強風ということもありそうだ。すみかわスキー場に車を駐めると、隣に何やら見たことのある人達。なんと先週24日に一緒になった、仙台YMCA山岳会の皆さんだった。今日は4人パーティーで丸山沢を滑りに来たのだという。やはり考えることは同じかと思うと、何やら可笑しくなってしまう。3回券(1,200円)を購入しリフトに乗る。上空は青空で風は穏やかだが、やはり山頂方向はガスっているようだ。ゲレンデトップで仙台YMCA山岳会は右へ、自分はシールを付けてから左の観光ルートへと別れる。700mほど歩いてから左の斜面を登り中央コースへと入る。仙台YMCA山岳会はまだ来ていないようだ。Nさん達は30分ほど先行しているはずなので、ピッチを上げて追いかける。
 中央コースを登っていくと、前方にはスノーシューのボーダー達、ワカンの団体、スキーのグループと様々なパーティーが見える。それらを次々とごぼう抜きにしながら登っていく。エコーラインの除雪はハイピッチで進められていて、もう大黒天の辺りまで来ている。尾根に乗ると、点々と山頂を目指しているパーティーが見える。上の方にNさんのパーティーらしきものが見えたが、まだだいぶ距離がある。今日はペースが速いようで、なかなか近づかない。勾配が急になると、いつもどおりのガリガリの斜面だ。登山者が多くて、ちょっと渋滞気味になる。ワカンのパーティーに追いついてしまったが、かといって追い越せるほどでもなく、仕方がないので後に付いて登る。
 少し間を開けようと思い、ザックを降ろしてスキーアイゼンを装着する。いつもは山頂まで登らずにトラバースするので、先行するパーティーの姿を探すが見あたらない。雪が少なくハイマツが邪魔で歩きにくそうでもあり、トラバースはせず山頂経由していると判断。刈田岳避難小屋到着はゲレンデトップから1時間少々。ここで白峰会のTさんとはち合わせする。今日はここまでにして下山するというTさんから、Nさん達は10分ほど先行しているとの情報を得る。
 刈田岳からは馬の背を経由して熊野岳避難小屋を目指すが、地面が露出している箇所が多く、何度もスキーを履いたり外したりを繰り返す。ガスは流れてくるが、徐々に晴れてきているようだ。やがて前方に点々とNさん達らしいパーティーが見えてきた。右下に見えるお釜はまだ氷結しているが、だいぶ緩んできたような印象。熊野岳避難小屋の手前数百メートルで、やっと最後尾のKさんに追いついた。最後の急登を一気に登ると小屋に到着。ブログではお世話になっているが、実際に合うのは初めてのSさんとあいさつ。小屋前にはスキー場から一緒になったSさんの知り合い2名も含めて、なんと17名の大パーティーとなった。
 小屋から丸山沢の源頭部への緩斜面は、ガリガリのアイスバーン。いったん斜面は狭まり、また広がると丸山沢の大斜面の上だ。丸山沢のバックボウル、吸い込まれるような急斜面が、どこでも滑れとばかりに手招きしている。とはいえ少し緩んできてはいるがまだ固いバーンなので、ラインを見ながら慎重に滑り始める。しかし、それも2・3タ−ンすれば滑降の快感に身を任せるしかない。フォールラインに従い漏斗状の底へと一気に滑り込む。見上げれば大斜面を思い思いのラインで滑り降りてくる仲間達。何とも爽快だ。喉状部を通りすぎ、急斜面を降りたところで昼食休憩となる。ゲレンデトップより歩き始めてからまだ2時間20分しか経っていないのだが、変化に富んだルートゆえかずいぶん時間が経ったような感じがする。沢底なのでまったく風も無く、暖かい日差しが嬉しい。
 再び滑り出すと斜面は少しザラメになってきたが、日蔭のバーンもありまだまだ油断はできない。また両岸が狭まり、喉を通過するが、だいぶ雪解けも進み斜面は大きくうねっている。ここは滝が雪で埋まっているだけであり、クラックがいつできるかも知れず、通過には注意したいところだ。斜面が広がり右上に噴気が見えると、楽しい丸山沢の滑降も終了となる。濁川へとトラバースし、登って下ってスノーブリッジで濁川を渡る。
 さて、ひよどり越えのキツイ登り返しだ。固い雪にブーツを蹴りこみ、キックステップでほぼ直登していく。途中まではYさんが、その後は自分がトップとなり登っていく。振り返ると16人もが一直線に繋がって登ってくる。誰かが芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のようだと言ったが、まさにそんな風に見える。いやはや凄いと思うと同時に、しっかりステップを刻まなければと気を引き締める。160mを登り上げひと汗かいたので、索道跡で休憩。ここからは滑り降りた丸山沢が一望でき、次はあの斜面はどうだろうかなどと思いをはせる。帰路は何度か雪が切れ、スキーを履いたり外したりする。新滝沢に降りてスキーを走らせ、下部の大穴を左岸からクリアーするとスキー場に到着。
 大人数だとどうしても個人差が大きくなってしまうものだが、今回は大パーティーにもかかわらずいずれも山慣れた面々で、足並みも揃い楽しい山行であった。それにしても雪解けが早い。来週以降に丸山沢を滑ろうとすると、クラックに注意するとともに、スキーで移動できない区間が増えることを覚悟しないといけないだろう。それでも丸山沢は、こんなダイナミックな山スキーが楽しめるのだから、少々の苦労はいとわない価値があるといえるだろう。(K.K)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青


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