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No4762
月山・品倉尾根
品倉山 1210.9m三等三角点峰
山行種別 山スキー
がっさん・しなくらおね 地形図

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山行期間 2013年4月20日(土)
コースタイム 姥沢駐車場(8:20,8:35)→リフト下駅(8:50,9:00)=リフト上駅(9:15,9:29)→柴灯森(10:15,10:32)→下降地点(11:16)→品倉尾根・休憩(12:06,12:34)→下降地点(13:51,14:01)→湯殿山スキー場(14:51)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
冬に戻った様相の姥沢 右前方に基礎だけとなった姥沢小屋が見える リフト上駅
姥ヶ岳東斜面をトラバース ガスの中を柴灯森から品倉尾根へ向かう 見えてきた品倉尾根を観察する
1619m峰への登り 歩いてきた金姥コルから柴灯森の眺め 1619m峰から北尾根へと下る
濁沢へと滑り込む ボードのKさん 固いバーンに新雪が薄く乗っている
濁沢左岸を品倉尾根へと登る 1386m峰 品倉尾根はアップダウンを繰り返す
品倉山が見えてきた 1281m峰への登り 品倉山への細尾根
湯殿山の北西斜面 平坦な品倉山(山頂はもう少し先) 眼下に広がるオープンバーン
テレマークのSさん 大ベテランのGさん 湯殿山スキー場トップにて

行動記録
 今回は月山エリアの中でもメジャーな姥ヶ岳や湯殿山ではなく、品倉尾根を滑る計画だ。しかも尾根をそのまま辿るのではなく、Nさんなりにひと捻りがあるという。自分も以前から品倉尾根には関心があったが、デポ車の問題もあり実行できないでいたので、どんなツアーとなるのか期待して当日を迎えた。
 20日の天気予報は曇り時々晴れで、まあまあかと思ったが月山に近づいてくると上はガスがかかっている。湯殿山スキー場で皆と合流。デポ車2台を置き、自分の車に人間7人とその分のスキーとボードにザックを詰め込み、姥沢駐車場へと国道112号をとって返す。積載力のあるワゴンはこんな時に助かる。徐々にガスが下がってきたような感じで、雪まで舞ってきた。姥沢駐車場に登り、待っていたSさんと合流。これで今日のパーティー8人が揃った。月山は見えず辺りの景色はまさに冬。駐車場からリフト下駅まで歩く途中、基礎だけとなった姥沢小屋跡が目に入る。今年1月に風のため全壊したという。
 リフト下駅で登山届を出し、9時より運転開始したばかりのリフトに乗る。15分ほどでリフト下駅に着く。スキーにシールを貼っているうちにも、次々にリフトから人が降りてくる。思ったよりガスは濃くなく、時折ガスが晴れると朝日連峰などの遠望も利く。しかし月山の山頂方向はやはりガスの中。姥ヶ岳へと続々と登る人々に混じり、我々も歩きだす。45分ほどで柴灯森に到着するが、ガスでこれから下るべき尾根はまったく見えない。コンパスとGPSで尾根の方向は分かるが、何も見えない細尾根に飛び込むのはさすがに躊躇する。シールを貼ったままゆっくり下ろうかという意見もあったが、シールの引っかかりを嫌い剥がすことにする。一瞬ガスが薄れて品倉尾根が見えた。よしっとばかりに方向を見定め下り始める。細尾根を時折ガリガリいわせて滑っていくと、ガスは徐々に薄れて辺りの景色も見えてきた。
 1619m峰までは緩やかなアップダウンがある。ボードはこんな場所が苦手のようで大変そうだ。1619m峰で尾根は分かれて濁沢の源頭となる。そのまま素直に北西に下るのが品倉北尾根だ。天候はすっかり回復し、高曇りながら庄内平野から日本海が見渡せる。朝日の山塊も一望だが、鳥海山は残念ながら雲の中だった。月山も湯殿山もこちら側から眺めると、いつもとは違い新鮮な感じがする。それにしても魅力的な斜面ばかりで、どこもかしこも滑ることが出来そうで、おいでおいでをされているように見える。
 斜面を一段滑り降りたところでNさんを待っていると、Nさんが左手の斜面に入っていった。えっここから?と思ったが、リーダーに従い濁沢の右岸斜面を覗き込んだ。かなりの急斜面で、ガリガリのバーンに新雪が薄く乗っている。下降するにはかなり手強い斜面だ。Kさんが様子を見ながら下り始めたので後を追う。横滑りにジャンプターンで難所をしのぎ、後は思い切ってシュプールを刻み濁沢に滑り込んだ。後のメンバーも果敢に滑ってくる。途中でTさんが15mほど落ちたが、全員が無事沢に降り立った。振り返ってみると、あえて狭くて厳しいラインを滑ったように見える。ちょっとしたエクストリームラインだ。後でNさんに聞くと、下降地点が手前過ぎたとのこと。今度は濁沢の左岸をトラバースし、途中でシールを付けて品倉尾根に登り返す。尾根に登ったところで昼食休憩。南に姥ヶ岳と湯殿山を眺めながらの贅沢なランチだ。山頂や斜面には、蟻かゴマ粒のような多くのスキーヤー達が取り付いている。先ほど我々が下ってきた品倉北尾根には、20人ほどの大パーティーが前後して2つも下ってきたのが見える。今日の品倉北尾根は大賑わいのようだ。
 品倉尾根の下降といっても、実際の品倉山はまだまだ先になる。そこまではアップダウンのある細尾根、雪稜歩きとなるので、シールを貼ったまま辿っていく。とりあえずは目の前の1386m峰だ。左側の雪庇に注意しながら登っていく。自分がトップだったが、後続がなかなか来ない。やっと見えて理由がわかった。ボーダーのKさんが、新雪で隠れたクラックに首まで落ちてしまったという。我々はスキーなのでクラックと平行にならない限り落ちはしないが、ワカンやスノーシューは落ちてしまう。2度落ちたということで、結局これ以上の雪稜歩きは危険となり、Kさんと付き添いのkaさん・Tさんの3人で濁沢に降りることとなった。先行していた我々5人は、このまま先へ進むことにする。尾根の一部はヤブになっていたり、雪庇のうねりもあったりで歩きにくい所もある。そんなときは思い切って右手の斜面をトラバースする。1281m峰の先は、ナイフリッジとまではいかないが左右が急斜面の稜線だ。
 やがて平坦な尾根になり、右手に素晴らしいオープンバーンが見えてきた。品倉山ピーク手前の北斜面だ。ここまでの苦労はこの斜面を滑るためにあったのだと思える、ワクワクするような斜面だ。滑る前に素晴らしい360度の大展望を堪能する。地元のGさんが見える山々の説明をしてくれた。さて滑降だ。シールを剥がしてワックスを塗り込む。Nさんが滑り込みその後に続く。雪は湿雪で重く腐り始めていたが、何しろ平均斜度35度はあろうかという斜面なので、快適に飛ばすことができる。とはいえ自分は2度ほど転倒してしまったが、それもまた楽しく愉快だ。見上げれば白く輝く斜面にあるのは我々のシュプールだけ。自己満足なのだろうが、まさに至福のひとときを味わう。
 濁沢はどこかで口を開けているらしく、先行者のトレースは左岸をトラバースしている。我々もそのトレースに従い下降していくと、先に下りた3人が途中で待っていて無事合流。緩斜面を流して営業終了したゲレンデを一滑りすると、湯殿山スキー場の駐車場に到着した。デポ車2台で姥沢駐車場に戻ると、本日のツアーも無事終了した。
 今回はNさんならではのルート取りだった。もちろん山スキールートとしては、品倉北尾根が一般的であり、アップダウンもなく滑降を楽しめる。しかしそれに飽きたらず、濁沢両岸の滑降と雪稜歩きもプラスしたところが独創的であり面白い。これまで誰かは滑ったり辿ったりしているのかもしれないが、記録として知り得なければ無いのと同じだ。いずれにしても、山を見て地形を見て雪を見て、可能なルートやラインを考え繋いでゆくことこそ、山スキーの醍醐味といえるのではないだろうか。ルート集や他人の記録をなぞるだけでなく、こんな創造的な山スキーに大きな魅力を感じる。この機会を与えてくれたNさんに感謝である。(K.Ku)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青


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