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No4931
吾妻山・県境尾根縦走
家形山 1877m主三角点峰
山行種別 山スキー
あづまやま・いえがたやま 地形図

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山行期間 2014年3月21日(金)→22日(土)
コースタイム 3月21日  天元台・湯元駅(8:40,9:20)=リフト終点(10:10,10:25)→人形石(11:23)→藤十郎(11:55)→東大巓(13:10)→兜山・昭元山コル(14:02)→雪洞設営地(14:07)
3月22日  雪洞(8:08)→昭元山・烏帽子山コル(8:50)→烏帽子山・ニセ烏帽子山コル(9:32)→家形山(11:38,11:55)→慶応山荘(12:35,13:18)→あづまスキー場跡上部(13:58)→高湯温泉(14:44)
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連休初日だがあまり混んでいない湯元駅 中大巓の東斜面をラッセルでトラバース 人形石に到着
視界のない緩斜面を下る 左前方が藤十郎のピーク 弥兵衛平の手前で青空が見えた
弥兵衛平にある古いツアー標識 東大巓のピーク北側を通過 兜山手前にあった標識
兜山から樹林帯に入る 雪洞設営地を決定 さっそく掘り始める
内部を掘っているSさん 天井と床を仕上げタナも造る 外も整地する
雪洞が完成 食事の準備 夕食のメインは白菜鍋

行動記録
3月21日(金)
 3月の合宿は毎年連休に合わせて行われる。3連休をフルに活用しての2泊3日で検討したものの、諸々の事情で結局1泊2日の吾妻縦走となった。泊まりは避難小屋かテント泊か雪洞か選択肢はあるが、自分としてはやはり雪洞に泊まりたい。雪洞雪洞と言っていたら、意見が通って雪洞合宿となった。もっとも今回のルートは、会でも5年前まで雪洞合宿として実施していたので、先輩は何回も経験済みである。自分はと言えば昨年の単独縦走の1回だけなので、今回の合宿で雪洞の経験値を上げたいとの思いがある。合宿参加者は4名と小人数になったが、雪洞はコンパクトにすることが出来る。低気圧が来ているのが懸念材料だが、大荒れにはならないようだ。予定どおり縦走を行うことになった。
 福島市内で集合し天元台へと向かう。福島から電車とバスを乗り継いで行くことも考えていたが、Oさんが車で送ってくれることになりだいぶ楽になった。9時20分のロープウエーに乗り込む。1本目のリフトはすんなり乗れたが2本目3本目のリフトはまだ準備が終わってなく、それぞれ10分ほど待たされた。ゲレンデトップでシールを貼り、人形石へ向けて歩き始める。昨日の雪で所々ラッセルとなる。スキー場の係員から人形石までロープが張ってあると聞いていたが、縄に赤布を付けたものが斜面をトラバースして延びているのを見つけた。以後は縄を横に見ながら人形石に着いた。ガスってはいるが視界は50m程度はあるだろう。風もそれほど強くない。吾妻連峰の尾根は平坦なところが多く、視界が無い時は慎重にルートを見定める必要がある。コンパスで東へと方向を定めて歩き出す。しばらくは下り緩斜面なので視界があればシールを剥がして滑りたいところだが、今日はシールを貼ったまま歩くことにした。
 藤十郎のピークを左手に見て進むと次の小ピークが前方に見える。今度はその小ピークを右にしてコルに下降し昼食休憩とする。風は思ったより強くないので、こんな平坦地でも休憩することができる。視界があればなんということもないのだが、視界が無ければ地形に変化が乏しいだけに一気に難しくなる。なお、人形石からここまでは一部にわずかな登りがあるだけなので、シールを張らなくても来ることができる。弥兵衛平は地形図では少し登り勾配だが、ガスって目標となる東大巓も見えず、平坦でだだっ広い雪原にしか見えない。歩いていると何枚かの古いツアー標識を見つけることができる。以前はガスっていてもツアー標識を目印に歩くことができたのだろうが、今はわずかに残るだけであり無理なこととなった。何十年と吾妻を歩き慣れているIさんであっても、度々GPSでルートを確認するほどだ。東大巓に近づくとぼんやりとピークが見える。そのピークの北側をトラバースして歩く。なお、人形石からここまではあまりラッセルもなく、風を背に受けながら順調に歩いてくることができた。
 今日のように視界が良くない時、東大巓から兜山への尾根に乗るのには慎重に方向を見定める必要がある。兜山の南斜面をトラバースしていくと、昭元山とのコルから樹林帯に入る。低気圧のお陰か、樹林帯の中はパウダーのラッセルとなる。稜線を北側に乗っこして昭元山の北斜面に入ったところを雪洞ポイントとした。降り積もった柔らかいパウダーは50センチほどもあり、程良い斜度の斜面なので思わず滑りたくなってしまう場所だ。樹林帯で風も直接当たらないので、雪洞を掘るのにも好適地なのである。雪洞は場所の選定が重要なので、よく考えて選びたい。
 始めは斜面を垂直に落として全面の壁を作る。その壁に入口となる横穴を掘り始める。1mほど掘り進んだところで、今度は左右に横穴を延ばす。今回は4人なので入口が1箇所の横穴式雪洞なのだ。下の方の雪も思ったほど固くなっておらず、スノーソーも余り出番が無い。シャベルでどんどん掘ることができる。ある程度中が広がれば2人で掘ることができるので能率が上がる。天井と床を仕上げ、棚を4箇所作って入口にツェルトを下げて完成。1.8m×3.6mほどの雪洞作成に1時間40分かかったことになる。なお、雪洞を掘ると雪が付いて融けてびしょ濡れとなる。雨具とゴム手袋が理想だが荷物になるので、今回はゴム手袋だけとした。
 雪洞の床には銀マットを敷き、さらに各自のマットを敷く。広さは4人のザックと人間が入ってちょうどというところ。外気温がかなり下がっても雪洞内はほぼ零度を保つ。暖かくはないが寒くはないというところだろうか。夕方になって風が強くなり雪が舞ってきた。雪から水を作り食事をして午後8時過ぎにはシュラフに潜り込んだ。(K.Ku)

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雪洞内での朝食 シールトラブルをビニルテープで応急処理 2日目のスタート
昭元山北斜面をトラバース バックは昭元山 鏡沼のある平坦地
烏帽子山南面トラバース ニセ烏帽子山へ登る ニセ烏帽子山山頂
家形山と一切経山 家形山南面の肩に出る コルへと滑り降りる
コルは風で雪が飛ばされている 沢へ滑り込む 慶応吾妻山荘分岐
あづまスキー場跡を滑る 高湯温泉街へと滑り降りる 安達屋旅館前の薬師堂が終点

行動記録
  小用をもよおして目が覚めた。時計を見るとまだ午前0時半。起きたくはなかったが朝まで持つはずもない。仕方なくシュラフから這い出しヘッデンを点けて驚いた。雪洞の入口から雪が吹き込んで積もっている。確認すると、扉にしていたツェルトが入口上部の雪とともに落ちたようだ。外は結構な勢いで雪が降っている。シャベルで雪をかき出しツェルトを取り付け直した。すっかり冷えた体でシュラフに潜り込むと、周りの幸せそうな寝息が聞こえてきた。朝は午前6時半過ぎに起床。外は穏やかで青空が見えている。天候は回復したようだ。さあ食事をして出発しよう。昨夜の雪は軽いパウダーとなって積もっている。この時期としては最高の雪質といえるだろう。しかし、吾妻稜線の縦走では滑降の場面はあまり無い。今日もシールを付けた歩きとなる。装備を確認するとSさんのシールが剥がれていた。ビニルテープで応急処置をする。始めのうちは昭元山の北斜面トラバースで、新雪をラッセルしながら進む。
 烏帽子山とのコルに出ると、左手に鏡沼のある平坦地が見える。コルから少し高度を上げて烏帽子山の南斜面をトラバースしていく。昨日とはうって変わって天気が良いので、真っ白な斜面の照り返しが眩しいほどだ。烏帽子山からニセ烏帽子山への尾根筋も樹林の中はラッセルとなる。昨年の縦走ではこの尾根筋に雪洞を掘ったことを思い出す。昨年はニセ烏帽子山の山頂部に発達する雪庇を避けて南斜面をトラバースしたのだが、今回はラッセルを嫌って雪庇の上をトレースした。重いザックを背負い交代でとはいえ朝からラッセルし続けているので、我々の足もだいぶ疲れてきている。
 今回の縦走最後のピークとなる家形山が近くなってきた。登りもこれで最後となる。急登を頑張り、斜度が緩んだところで進行方向を南東に変える。樹林の中で周囲の山が見えないが、コンパスで確認すれば間違えることはないだろう。樹林帯を抜けて家形山の南斜面の肩に出る。一切経山と五色沼が目の前だ。ここからは風の通り道になるので風が当たるようになる。シールを剥がして五色沼のコルへと滑り降りる。コルは風が強くて雪が付いていないのでスキーを持って歩く。大岩の所まで来るとさらに風は強く爆風となる。歩くのも大変で耐風姿勢を取るほどだ。風から逃げるためには急いで下降するしかない。滑り降りて沢筋に入ると、さっきまでの風が嘘のように穏やかになる。
 慶応吾妻山荘で昼食休憩とした。管理人の大柿さんが入れてくれたコーヒーを飲み、ついついゆっくりしてしまった。後はいつものようにスキーを走らせる。あづまスキー場跡に出ると、旧ゲレンデの雪はモナカになり始めていた。スキーで高湯温泉の薬師堂まで滑り安達屋の前に降りた。Oさんに迎えに来てもらい高湯温泉を後にする。なお、本数は少ないが、高湯温泉から福島市内までのバス利用も可能だ。(K.Ku)

概念図



トラック 1日目=赤 2日目=青

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