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No5070
蔵王・南屏風岳(コガ沢)
1810m標高点
山行種別 山スキー
ざおう・みなみびょうぶだけ(こがさわ) 地形図

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山行期間 2015年3月7日(土)
コースタイム 白石スキー場(7:10)→ゲレンデトップ(7:52)→不忘山(9:46)→南屏風岳(10:47,11:17)→回復待ち(約25分)→滑降・1700m地点(12:20)→権現沢出合(12:50)→950m地点(13:14)→白石スキー場(13:31)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
遠慮がちにゲレンデ脇を登る 標高1350m付近 東尾根(山頂はまだ見えない)
1630mでガスが薄れ山頂が見えた 細尾根を辿る 1690m付近
コルへと下る 時折日が差す 1732m標高点からの南屏風岳
左手は出戸天神沢 雲海で幻想的な雰囲気 南屏風の壁
平坦な南屏風岳の山頂付近 あっという間にホワイトアウトに 急斜面をトラバースしてここから滑降することに
テレマーカーの藤◯さんがドロップ 快適に滑っていく 黒◯君はまだ山スキー5回目
コガ沢を滑る 沢が口を開けているので要注意 慎重に通過する
ハーフパイプ状で面白い 沢の穴が多くなってくる 笑顔でミッションコンプリートの2人

行動記録
 コガ沢は南屏風岳の東斜面を源頭とする沢である。南屏風岳の東斜面は、まるで大きな衝立というか壁のように見える。「屏風」と名付けられる所以であろう。冬に下界から見上げる白い壁はなんとも魅力的で、あの壁を滑ってみたいと思ってしまうのである。実際、普通の斜面では飽き足らないスキーヤーやボーダーに滑られているが、その数はそう多くない。その理由は、アプローチの標高差が大きく大変だということに加え、帰還ルートが通常はコガ沢となることも、足を遠ざける要因となっているのだろう。もちろん雪崩のリスクも考えなければならない。コガ沢は時期が早くても沢が埋まりきらず、遅ければ沢が口を開けて危険が増し、滑ることの出来る期間は意外に短い。
 蔵王周辺は終日曇りとの予報だが、風は穏やかのようだ。車を走らせながら蔵王を眺めると、どんよりとした雲に覆われている。しかし、登ればその上に出ることもあり、山は行ってみなければ分からない。白石スキー場の駐車場で同行者2名と合流。リフト運転開始前のゲレンデを登り、ひと汗かきながら40分ほどでEコーストップへ。そのまま東尾根を登る。トレースは無いが、薄い新雪を踏んで快調に登っていく。自分はこの頃、この東尾根を登ることが多い。樹林帯である程度風を避けられること、右手にコガ沢の右岸を意識していればルートを外れることがないこと、Bコース上部のようにヤブがうるさくないことが理由だ。ただし、山頂を見ながら広い雪面を登りたいときは、Bコース上部からの方が良い。1350mを越えると樹林帯を抜け、明瞭な尾根になると視界が広がる。ここまで登ってもほぼ無風なので、自分はいつものようにアンダー1枚。思ったより視界があり、下界が明瞭に見える。しかし、上を見るとガスがかかり不忘山頂はもとより、そろそろ見えてくるはずの南屏風の壁はまったく見えない。回復することを期待して登ろう。
 1690mまでスキーで登り、そこから先はスキーを担ぎ稜線を辿る。アイゼンは付けていないが、スキーブーツを蹴り込めば問題はない。山頂を踏むと休まず先へと歩を進める。ちなみに同行者は2人とも不忘山初登頂だ。転倒に注意しながらいったんコルへと降り、再び登っているとガスが薄れて南屏風岳が見えてきた。よし、何とか滑ることが出来るかもしれないとの期待が出てくる。斜度が緩んだところで再びスキーで登り、南屏風岳山頂で休憩とした。稜線には薄くガスがかかっているが、雲海は稜線の下の方でまだ斜面は見えている。昼食を素手で取っていても風が無いので冷たくないほどだ。さらに回復も期待していたのだが、そのうちあっという間にガスが濃くなってしまった。ほとんどホワイトアウトの状態になり、滑る準備をしてガスが薄れるのを待つことにする。3分でいいので、斜面がある程度見えればその機を逃さずに滑るつもりだ。幸い雪は安定している。
 しかし、しばらく待っても回復しそうにない。もう待っても無理と判断し、稜線を北へと回り込むことにする。こんな場合の時のエスケープルートである。かすかにしか見えない稜線を、GPSとコンパスを頼りに進む。稜線が水引入道分岐へ近づき少し登りになったところから、斜面に出てトラバースをうかがうと、かすかに急斜面のラインが見える。意を決して急斜面へ踏みだしトラバースを始める。下が見えないので急斜面がより急に感じ、緊張のトラバースが続く。高度を下げていくと、ようやくブッシュが見えてきた。白一色の雪面の中に黒い物が少しでもあると、遠近感が得られるようになる。よし滑降開始だ。トラバースで高度を下げたとはいえ、急斜面の下部まで300mの標高差がある。各々自分のスタイルで滑降するが、重めのパック雪に何度か転倒したのは自分だけで、2名の同行者はスキーが上手くガンガン滑り降りてしまう。南屏風の壁下、放射状に広がるコガ沢源頭部支流の合流点まで滑りひと息つく。
 ここまで来ればやれやれであるが、次はコガ沢を滑っていかなければならない。沢の中でもガスは濃くなったり薄くなったりと変化する。慎重に前方の状況を観察しながらの滑降が続く。沢の滑降は楽しいのだが、口を開けている場合があり要注意なのだ。この時期の水量は多くないが、穴に落ちてしまえば1人で脱出するのは甚だ困難になる。今日30mロープと10mロープを持ってきているのは万が一のためである。安全と思うときは沢床を滑るが、斜面寄りにラインを取っておいた方がリスクが少ない。滑っていて、沢が口を開けている箇所が多いように感じた。もしかすると今年の雪解けは早いのかもしれない。標高を下げても沢の雪はあまり重くならず、スキーを走らせて下降を続ける。標高950m辺りまで来ると滑降も終了。それまでより緩やかになった右岸斜面を、トラバースしながら登っていく。シール登高にしてもよいが、我々はそのまま登った。小尾根を越えてゲレンデに出ると、ガスが濃いゲレンデにはほとんど人がいなかった。(K.Ku)

概念図

ルート図 登り=赤 下り=青

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