Fukushima toukoukai Home page
No5075
吾妻・大沢コース
中大巓 1963.8m三等三角点峰
山行種別 山スキー
あづま・おおさわこーす 地形図

トップ山スキー>吾妻・大沢コース

山行期間 2015年3月15日(日)
コースタイム 天元台・湯元駅駐車場(7:50)=天元台高原駅=リフト終点(8:50,9:04)→中大巓(9:26,9:44)→人形石(9:50)→明月荘(11:07)→休憩(11:30,11:56)→忠ちゃん転ばし(12:18)→渋川(12:40)→砂盛(13:20)→吾妻山麓放牧場(14:26)→大沢駅(15:12)=天元台・湯元駅(15:45)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
リフトでゲレンデトップへ 樹氷の森を中大巓へと登る なだらかな西吾妻山と右後ろに頭が見える西大巓
中大巓の山頂にて 緩やかな尾根を滑り出す 人形石を通過
緩斜面を滑り降りる 再びシールを貼って歩く どこまでも青空が広がる
ツアーコース標識はいつ頃の物だろうか 東大巓を左から巻く 明月荘に到着
小屋から平坦な雪原を真北へ進む 通称クジラの大斜面を滑る 爽快に滑る
クジラの大斜面を振り返る 楽しい昼食タイム ツアーコースの標識
忠ちゃんころばしの急斜面 続いて白○さん 転倒して雪まみれでも楽しい
忠ちゃんころばしの斜面が見える 忠ちゃんころばしのシュプール 砂盛の急斜面(河○さん)
砂盛の急斜面(佐○さん) 大小屋川右俣渡渉点 大小屋川左俣渡渉点
吾妻山麓放牧場に出る 思ったより雪が良く板が走る 牧場の建物から先は林道を滑る
大沢駅へと下る 大沢駅への案内板 分かりにくい分岐を右へ
旧大沢スキー場の建物 大沢駅に到着 大沢駅の元ホームに到着

行動記録
 大沢下りは吾妻山域の中でも、日帰り可能なルートとしては最長の部類となる。スタートは天元台スキー場のゲレンデトップからで、少しの登りで稜線に出るとそこからは長い下りが始まり、奥羽本線大沢駅に下ることとなる。もちろん、発想力と脚力があれば吾妻山域では様々なルートも考えられるのだが、やはりクラシックルートはクラシックルートの良さがあり、何度でも訪れたくなるのだ。さて、この大沢下りを計画した当初は14日で、メンバーは5名ほどであった。当然増えるだろうとは思っていたが、数日前に天気の動きを見て15日に変更した後も参加申し込みが続き、最終的に12名の大人数となった。山スキーのツアーでは通常、これほどの人数となることは少ない。ましてやロングルートである。人数が増えると不確定要素が多くなるし、行動時間も延びがちになり、ロングルートでは踏破出来ない場合もあり得るからだ。しかし、幸い日曜日は好天で風も穏やかのようである。下りメインのルートなので脚力の心配もあまりないので、最大限受け入れてみようと考えた。視界や風の問題がなければ、大沢下りでは特に難しい箇所はないからであり、なるべく多くの人にこのルートを体験してもらいたいからでもある。
 天元台に向かう前に大沢駅に車をデポする必要がある。しかし、旧駅にある転回場所を確認すると、狭くて普通車2台を置くのは気が引けた。○樹さんの提案にしたがい集落手前のカーブ、道路脇のスペースに2台をデポした。少し待つと佐○車が現れたので乗り込み天元台へと移動する。大沢下りで天元台に戻るには、こうして車をデポするか、電車とバスを利用することになる。天元台ロープウェイの湯元駅へ35分ほどかけて移動。既に他のメンバーは全員揃っていた。ロープウェイの運転開始は土日休日は8時からだが、始発には間に合わず次の便に乗り込む。さらにリフトを3本乗り継いで1820mのゲレンデトップへ。今日はまったくもって天気が良い。朝日も月山も蔵王も鳥海もくっきりと見えている。しかも風は微風で、これからのツアーに期待が高まる。ビーコンチェックをして斜面に取り付く。いつもは左へトラバースして人形石を目指すのだが、今日はいったん中大巓に右から巻き込むようにして登り、そこからツアーのスタートを切ることにした。初顔合わせのメンバーもいるので、中大巓の山頂付近で自己紹介をする。なお、老若男女12名のうち3名は、今シーズンから山スキーを始めたばかりの初心者だ。中大巓からは吾妻連峰の緩やかな尾根が一望できる。西吾妻山へと登っていくパーティーも見える。
 シールを剥がして緩斜面を滑り出す。人形石を過ぎるとちょっとした斜面になり小ピーク手前の平坦地へと滑り込むが、ウインドパックの雪に板を取られ何人か転倒。ここからは僅かな登りがあり、小ピークを左に見て籐十郎と弥平衛平の鞍部まで僅かながらアップダウンがある。雪が締まっていればシールに頼らなくとも進むことが出来るのだが、今日は軽く雪が積もっていてトレースも無いのでシールを貼ることにした。籐十郎のすぐ先の小ピークを左から回り込み、東大巓との鞍部に出る。人形石からシールを付けないで来たとしても、ここから次の目標である明月荘までは登りがあるので、いずれにしてもシールを貼ることになるポイントだ。明月荘手前は弥平衛平という平坦地になっている。視界が無いときは、なかなか明月荘を見つけられないこともある。そんなときは鞍部から東へと東大巓のピークを目指し、ピークから90度左に進路を振って明月荘を目指すと見つけやすい。しかし、今日のように視界があれば、何も考えずとも東大巓の北斜面をトラバースし、ショートカットするように明月荘を目指すことが出来る。明月荘には予定より少し早く到着。ここで昼食休憩とも考えたが、少し風があるので先に進むことにする。
 平坦地形を北へ進むと斜面の肩に出る。渋川の源頭斜面だ。クジラの背と呼ばれる渋川左岸尾根へと滑り、樹林帯に入ったところで昼食とした。思ったとおり風もなく、暖かい日ざしの中で昼食を広げる。静かで穏やかな雪山の中で過ごす時間は、まさに至福のひとときで、浮き世を忘れるとはこのことかと思う。その後は「忠ちゃんころばし」である。樹林帯の中にぽっかり開いた急斜面であり、雪崩れそうに見える斜面でもある。気温が上がってきたが北斜面ということもあり、しっかりフカフカのパウダーが残っている。トップの石○さんが斜面を横カットしないようにフォールラインでドロップ。斜面は安定しているようなので1人ずつ間隔を空けて続く。ビギナーの3人も臆することなくドロップするのには感心するとともに、これからが楽しみになってくる。
 渋川を横断して砂盛と呼ばれる小ピークの右肩へと、かなり上がってきた気温に汗をかきながら3度目のシール登高。その先は大小屋川右俣の源頭部の、標高差150mほどの急斜面になる。ここも北斜面なので、沢にはたっぷりとパウダーが溜まっていて楽しめた。林道のある大小屋川右俣寄りを下るとスノーモービルのトレースがうるさいので、左俣の方へと逃げて沢を横断しひと息つく。ここまで来れば先が見えてきた。
 緩斜面になる吾妻山麓放牧場では、雪が腐りスキーが走らないのではと心配したが、思いのほか腐っておらずスキーが走ったのは嬉しい誤算だ。牧場から先はスノーモービルで固められた林道を滑る。大沢駅への分岐は、トレースが無いととても道には見えないので注意したい。小さい看板が左側にあるにはあるが見落としやすい。今日もトレースは無く、メンバーは半信半疑で進んでいく。大沢スキー場跡を通り、予定より12分遅れで大沢駅に到着した。デポ車を取りに行き、6人ずつ乗り込んで天元台へと車を走らせた。
 今回は天候と雪にも恵まれ、メンバーの足並みも揃って楽しいツアーとなった。天元台のロープウェーとリフトを利用しての大沢下りは、今日のように条件が良ければ体力的にも無理なくロングツアーが出来る魅力的なコースだ。しかし、視界が無い場合などはその地形ゆえ、慣れた者でもルートファインディングに苦労することになる。準備と装備を怠ってはならないコースでもある。吾妻山域では毎年遭難が発生しており、今年も1月に天元台から登った登山者が行方不明となり、未だに発見されていない。(K.Ku)

概念図

ルート図 登り=赤 下り=青

 トップ



Copyright(C) 2015 福島登高会 All Rights Reserved.