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No5087 |
蔵王・屏風岳
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1825mピーク |
山行種別 |
山スキー |
ざおう・びょうぶだけ |
地形図 |
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山行期間 |
2015年4月4日(土) |
コースタイム |
東北大学蔵王観測所(5:15)→林道から斜面へ(5:51)→1166m標高点上(6:46)→標高1570m(8:00,8:10)→稜線(8:36)→屏風岳(9:05,9:36)→秋山沢右俣(10:03)→1166m標高点付近(10:16)→林道合流(10:38)→東北大学蔵王観測所(10:53) |
写真 |
写真は拡大して見ることが出来ます |
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スタート地点の雪は切れていた |
秋山沢コースへ |
北屏風が見えてきた |
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北屏風の全体が見えてきた |
滑降ラインを観察する |
休憩地点より壁を見上げる |
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雪庇が一部崩壊している |
稜線に出ると鳥海山が見えた |
蔵王から鳥海山がここまで見えるのは珍しい |
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朝日連峰もクリアーに望める |
平らな稜線からスパッと切れ落ちるのが屏風の壁 |
山頂表示板 |
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吾妻連峰 |
飯豊連峰 |
南側から見た1,825m地点の斜面 |
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左に見えるのは水引入道 |
見下ろしても中間部の斜面が見えない |
中間部まで滑り降りて見上げる |
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光の加減でシュプールが見えにくい |
ブナの疎林を抜ける |
すっかり春山だ |
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マンサクの花 |
下山すると車が3台増えていた |
下山すると車が3台増えていた |
行動記録 |
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蔵王の屏風岳(北屏風)の最高地点は1,825mだが、山頂表示板は三角点のある1,817.1m地点に立っている。さてどちらが山頂なのかと疑問になるが、見る資料によって屏風岳の標高は1,825mとも1,817.1mともされており色々である。いずれにしても最高地点は1,825mに変わりはない。この最高地点直下は、いわゆる北屏風の壁の中央に位置し、斜度がもっとも厳しい斜面となっている。昨年はここから滑り始めたものの、流れるスラフにたまらず左に逃げたことがあった。そんな訳でリトライを狙っていたのだが、天気の良さそうな4日に実行することにした。しかし、昼までには帰宅しなければならないという制約がある。まあ何とかなるだろう。
自宅を出て車を走らせると、徐々に明るくなってくる。今日は午前中しか時間が取れないので、早朝スタートの計画とした。東北大学蔵王観測所前に車を停める。周辺の雪はもはや消えかかっていて、林道までスキーを担いで歩く。このルートは昨年4月9日に来たが、その時よりも今年は雪解けが早いようだ。林道に出てスキーに乗ると、すぐ秋山沢コースへと進む。林道に雪は残っているが、もう少しで途切れそうなところもある。ヘアピン区間を手前の沢からショートカットしようと考えていたが、雪の状況を見てあきらめ道なりに進む。2つめのヘアピンより道を外れて尾根に乗る。今日は単独なので黙々と歩いていく。左手には秋山沢があり、林を透かして馬ノ神岳東尾根の北斜面が見える。登ること2時間近くでやっと屏風の壁が見えてくる。立ちはだかるようなその姿は威圧感があり、圧迫感というのか少し胸が締め付けられるような感覚がしてくる。屏風の壁を滑るとき、特に単独で向かっているときはこんな感じがする。慣れることは出来ないが嫌いな感覚でもない。
秋山沢右俣まで行かずに、その手前で小沢沿いに登っていく。標高1570mで夏道に合わせた辺りで、これから登る壁を見上げながら休憩とする。稜線の雪庇が一部崩れ落ちているが、登るのは雪庇の無いところだ。大きく3度ジグを切り、標高差140mを約26分かけて稜線に到達。雪もほどよく緩んでいたので、スキーアイゼンを付けなくても問題は無かった。状況によってスキーアイゼン装着、またはキックステップでの登高とすればよい。稜線に出ると今日は視界が良いことに気付く。吾妻、飯豊、朝日、月山はもとより、鳥海山までもクッキリと近くに見えているから素晴らしい。
稜線を1kmほど南へ辿ると屏風岳の最高地点(1,825m)だが、さらに150m南で山頂表示板のある三角点まで移動する。三角点の標高は1,817mだが、ここには山頂表示板があり、こちらを屏風岳の山頂としている資料も多い。斜面や雪庇の状況を確認しながら1,825mに戻る。屏風岳の稜線は雪庇が多いが、最高地点直下は雪庇が無くエントリー可能だ。斜面を覗きこむと10mほどは見えるが、その下の斜面中間部は直接見えない。さらに下の斜面が見えるのみだ。稜線直下はそれほど斜度が急なのだ。おそらく50度を超えると思われる。見えない斜面にドロップするのは気持ちの良いものではないが、斜面の状況は登りながら観察しており特段の問題はないだろう。
さて滑降するとしよう。斜面にそろりとスキーを滑り入れる。自分の技術では一気に滑り降りるというわけにはいかず、ジャンプターンで上部の急斜面をしのぐしかない。1回、2回、そして3回目のターンでエッジを外してしまい落ちかけたが、5mほど落ちただけで踏みとどまる。崖のような急斜面にやっとへばり付いた自分の脇をスラフがザーと流れ落ちていく。思いのほか雪が緩んでいるようだ。気合いを入れ直して体をフォールラインへと落とす。滑降を続けるとまたたく間に最大斜度の区間を滑り降り、北屏風の壁の基部まで到達してしまう。振り返り仰ぎ見る斜面に不器用なシュプールが刻まれていた。今日は感慨にふける時間はない。そのまま下降すると秋山沢の左俣に入ってしまうので、左へとトラバースすると右俣を渡り登ってきたときのラインに合わせる。あとは緩斜面を滑り降り戻るだけだ。
さて、今回はほぼ計画通りに行うことができた。とはいえ、1,825m直下の斜度は厳しく、もう少し雪が固かったなら今日のラインは断念せざるを得なかっただろう。滑降と言えるほどのシュプールは描けなかったが、自分の腕前ではこのくらいが限度のように思う。これ以上はもはやエクストリームスキーの領域になってしまう。それは56歳の自分が目指すところではないし、目指せるはずもない。自分は山スキーにおける山行の可能性のひとつとしてトライしているのだ。とにもかくにも無事下降は果たしたのだから良しとしよう。ところで、下山時に林間を滑っていると、数人分の新しいスキーのトレースがあるのに気づいた。自分の後から同じルートで登ってきたパーティーがいるようだ。姿は見かけなかったが、彼らも北屏風の滑降なのだろうか。自分以外にもピストンでの北屏風滑降などという、マニアックな山行をする人達がいるのであれば嬉しい限りだ。(K.Ku) |
概念図 |
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ルート図 |
登り=赤 下り=青 |

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