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No5109
飯豊・えぶり差岳
1636.4m三等三角点峰
山行種別 山スキー
いいで・えぶりさしだけ 地形図

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山行期間 2015年4月27日(月)
コースタイム 梅花皮荘(4:53)→西俣ノ峰登山口(5:08)→大曲り(5:45)→十文字の池(6:17)→西俣ノ峰(7:33)→下降地点・1090m(8:05)→東俣川・740m(8:27→屈曲点・1,100m(9:40)→えぶり差岳(11:26,12:00)→登高地点(12:23)→尾根・1090m(13:50)→上カバタケ沢下降点(14:24)→梅花皮荘(15:39)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
飯豊は近くて遠い山 スキーを担いでの急登 大曲り分岐
十文字の池 727m標高点 西俣ノ峰が見えてきた
西俣ノ峰の標識 西俣ノ峰より飯豊本山を眺める ヤブの露出が進んでいる箇所
えぶり差岳が正面に見えてきた 東俣川へ滑り降りる 東俣川を登っていく
今にも落ちそうな左岸の雪渓 デブリもあるが支障にはならない程度だ 徐々に斜度が増してくる
屈曲点付近から左に見える大石山 右下小さく自分がいる 山頂間近で雪が切れる
山頂からのえぶり差小屋 存分に滑降を楽しむ 縦溝はあるが大したことはない
急斜面を登り返す 1090m地点に到着 上カバタケ沢上部(Tさん提供)
デブリが酷い すっかり沢が現れていた 民宿奥川入の前に到着

行動記録
 西俣ノ峰からえぶり差岳へ東俣川を使ってワンデイで至るルートは、近年ではGやSの記録があり、自分もいつかはと思っていた。しかし、若ければ「いつか」でもかまわないのだが、56歳ともなるといつかはなどど悠長なことは言っていられなくなる。いわゆる「後が無くなってきた」ということだ。西俣ノ峰は先週に少し下見ができたこともあり、雪解けの早さにも背中を押されてトライしてみることにした。今年は山の雪解けがめっぽう早い。自分のように山スキーをやっていると、春は残雪を追ってあの山この山と渡り歩くようになる。だから雪解けには敏感になるのだが、今年は3月から既に雪解けが早いのではとの感じがしていた。しかし、予想以上に雪解けが早い現実に少々焦ってもいたのだ。カメラが不調だったため画像は◯樹さん撮影のものを使用させていただいた。
 梅花皮荘には前日入りの予定だったが、諸事情により当日移動になってしまった。午前2時に起床し途中で◯樹さんを乗せ、梅花皮荘には午前4時半過ぎに到着。駐車場で車中泊していた◯中さんと合流。スキーを担ぐとさっそく出発する。梅花皮荘の標高は標高300m少々である。道を南へと進むと民宿奥川入があり、その先からは雪があるのでスキーで歩くことができる。民宿から600mほど歩くと、手作りらしい西俣ノ峰登山口の標識がある。ここから右に折れると登山道になり、急斜面に取り付くことになる。下部に少しばかり残っている雪にブーツを蹴りこんで登ると、すぐ雪は無くなり飯豊らしい急登が続く。岩場やロープもあり、スキーを担いで兼用ブーツで登るのは結構キツイ。登り用の靴を別に準備する方法もあるが、今回は考えがあり見送った。急登は「大曲り」まで続くが、その先はいくぶん勾配が緩む。
 やがて雪が現れ、ブーツを蹴り込んで登っていくと平坦なところに出た。ここが「十文字の池」で、すぐ先が727m標高点になる。ここからは雪も繋がり、斜度も落ち着くのでシール登高に切り替える。雪面には昨日のものだろうツボ足の他にスキーのトレースもあった。左手に飯豊本山を見ながら標高を上げ、西俣ノ峰まであとひと登りというところでひと息つくが、◯中さんがなかなか来ない。やっと登って来たので聞くと体調不良とのこと。結局、◯中さんは単独で戻ることとなった。2人で登高を再開すると、ほどなく西俣ノ峰(1,023m)に到着。ここからは尾根を南に頼母木山方向に辿る。
 途中で上カバタケ沢を観察する。今日の下降ルートに考えているのだ。今年は雪解けが早いので、標高の低い沢の下降は少々心配ではある。いずれにしても帰りに判断するとしよう。さて、今回のルートは稜線からいったん東俣川へ下降し、沢を詰めてえぶり差岳へ到達する。Gさんの記録では1089m標高点の辺りから下降しているようだが、我々はもう少し先の沢筋から下降することにした。スキーを抱えてヤブを越え下り、適当なところでスキーに切り替えた。まだ陽の当たらない西斜面であり雪面は固い。スキーのエッジでガリガリと雪を削りながら急斜面を下降していく。斜面にはクラックもあったが難なく東俣川へと降り立つ。尾根からは一気に350mも下降したことになる。帰路はこれを登り返さなければならない。東俣川を見る限りではしっかり雪で埋まっており、問題なく登高できそうだ。
 さっそくシールを貼って歩き始める。ここからえぶり差岳山頂までは、900m近い標高差を登らなければならない。両岸からはあちこちデブリが落ちているが、歩く支障になるほどではない。両岸からのブロック崩壊に気を配りながら、緩やかな登りが続く。両岸の斜面が迫る沢底は、視界の広がる稜線とは別な世界のようでもある。ペースの速い◯樹さんがどんどん先行する。しかし、この頃体力が落ちてきたという自覚のある自分は、マイペースで登っていく。沢は左右から枝沢が合わせるので一本道ではない。今日はえぶり差岳に直接突き上げたいので、まぎらわしい枝沢との出合いでは地形図とGPSで確認しながら登る。標高1100m地点の屈曲部は、沢なりに稜線の見える左へと進みたくなるが、ここは右から合わせる枝沢へと進むのが正解だ。枝沢とはいえ雪で埋まっているので、単なる急斜面にしか見えないので要注意である。なおこの枝沢は、関川村発行の山岳渓流地図で北ノ大沢とされている。
 急斜面になるとなおさら○樹さんに離されることになる。体力の差に加えて彼はスキーアイゼンも付けており、より直登に近いラインで登っていく。スキーアイゼン無しの自分は大きくジグを切って登っていくしかないが、緩んできた雪でエッジが流れ何度か落ちそうになる。自分のスキーアイゼンは、今日のようなヒールリフターを目一杯上げる急斜面ではあまり効かなくなる。付けても意味がないのだ。それにしても今日は快晴で微風と気持ちが良い。やはり春スキーは青空に越したことはない。えぶり差岳の東斜面に乗ったことを確認すると、後はひたすら登り続けることとなる。◯樹さんはずっと上に行ってしまった。山頂に近づくと平坦になり雪が切れた。雪渓の末端に○樹さんのスキーとザックが置いてある。ヤブのすぐ上が登山道で、山頂までは50mほどだった。山頂にも雪はない。久しぶりのえぶり差岳から眺めを楽しむ。山頂から南に少し下ればえぶり差小屋がある。小屋前から滑っても良さそうだが、今日は山頂直下から滑ることにこだわってみよう。
 昼食を取るといよいよ滑降だ。少し縦溝はあるものの適度なザラメで滑り心地は痛快のひとこと。想像以上に平坦な大斜面で、逆にもっと変化が欲しくなるほどだと言ったら贅沢だろうか。急斜面を滑りきると屈曲部の出合いだ。沢底をクルージングしていくと、やがて西俣ノ峰からの下降点に到着。ここからまた急斜面を登らなければならない。ここでも○樹さんはどんどん登っていく。いやはや何という体力なのだ。こちらはやっとの思いで登っているというのに。しかも、さらに緩んできた雪にエッジを外し、何度か落ちかけるなどで余計に時間がかかってしまった。スキーを担いでキックステップの方が、かえって楽で早かったかもしれない。尾根に登り上げて○樹さんと合流しひと息つく。すると尾根沿いにスキーで単独行者が下降してきた。今朝確認したスキーのトレースの主に違いない。やってきた男性は昨日登って頼母木小屋に泊まり下山してきたのだという。話しているうちにその男性がGさんの掲示板で見かける米沢のTさんと判明。彼も自分のブログを見てくれているという。お互い初対面だが初めてのような気がせず話が弾む。
 さて、帰らなければと尾根を辿り上カバタケ沢上部まで移動。あらためて観察したが、何とかなりそうだったので下降ルートに使うことにした。登山道を兼用ブーツで下るのは楽しいことではないからだ。上カバタケ沢上部の急斜面は特に問題無かった。しかし、その後が大変だった。土と小石を巻き込んだデブリが沢を覆っていて、とても滑るどころではない。仕方なくスキーを担いで歩く。途中少しマシになってスキーに乗ったが、再びデブリになり担ぐことに。そのうち沢が口を開け始め、ついには完全に沢が露出してしまった。帰路のためには左岸トラバースしたいところだが、それもかなわず右岸のしょっぱいトラバースとなった。もはやスノーブリッジなどあるはずもなく、ましてや道も無いから橋も無いので素直には対岸に渡れない。うろうろと渡渉点を探した結果、倒木の枝を頼りに何とか渡った。2人ともブーツにはガボガボと水が入ってしまったが仕方ない。この程度で済んで良かったと言うべきだろう。なお、例年であれば何の問題もなく渡れたと思われる。渡渉点から登山口までは300m程度で、その後は往路を辿って梅花皮荘まで戻った。
 今回の山行で上カバタケ沢を下降している途中、スキーを担ぐときに滑走面を見ると、黒い汚れがべっとりと付いていた。初めは土で汚れたのかと思ったが、触ってみると油状の物質なので土ではないと分かった。帰ってから各地の山で同様の現象が発生していることを知り、調べてみるとどうもブナの花粉が怪しいようだと分かった。この時期ブナが花粉を飛ばし、雪面に落ちた花粉が滑走面に付着するのではないかと考えられる。それがこの黒いヤニ状物質の犯人らしい。確証はないが一番納得のいく原因のように思える。誰かがPM2.5とか言っていたが、そもそもPM2.5がこんな濃度で降り注ぐのであれば、山だけの問題で収まるはずがない。しかし不思議なのは、これまで毎年春スキーをやっていて気づかなかったことだ。経験の長い先輩に聞いても経験が無いという。もしかすると今年は特別に花粉量が多いのだろうか。不思議だ。(K.Ku)

概念図

ルート図 登り=赤 下り=青


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