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No5282
飯森山
1595.4m一等三角点峰
山行種別 山スキー
いいもりやま 地形図

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山行期間 2016年2月4日(金)
コースタイム 大峠トンネル(8:00)→1462m標高点(11:07)→鉢伏山(11:40,12:08)→飯森山(12:57,13:22)→鉢伏山(14:08,14:18)→ヤセ尾根(14:40,14:51)→大峠トンネル(15:26)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
国道112号の大峠トンネル手前が取り付き点 樹間の広い斜面が心地よい 新雪が少し積もっている
右手には白く輝く飯森山 たちまち追いつき追い越していった単独男性 ヤセ尾根
1462m標高点手前の急登 1462m標高点からの鉢伏山と飯森山 鉢伏山へと向かう
鉢伏山の美しい斜面 霞んでいる飯豊連峰 コルへ降りて飯森山へ向かう
雪庇が崩壊 ジャンクションピークから西に延びる尾根 飯森山の山頂へ
山頂にて 栂峰を望む 尾根を戻る
ジャンクションピークからコルへの滑降 鉢伏山東斜面へ降りる 快適な斜面
適度な斜度でスキーが走る シミケンさんの滑り トラバースしてヤセ尾根へ
鉢伏山東斜面の滑降ライン ブナ林のツリーラン 最後の急斜面

行動記録
 飯森山は飯豊連峰と吾妻連峰の間に位置する福島県と山形県の県境稜線に位置する。飯森山は古くからの信仰の山であり「古飯豊」とも呼ばれている。夏に飯森山に登るには尾根コースと大桧沢からの沢コースがあり、尾根コースは往復8時間から10時間、沢コースは1泊を要する山頂の遠い山である。自分は2013年の沢合宿で初めて飯森山の山頂を踏んでいる。その飯森山を今回は山スキーで登ってみることにした。
 国道112号の大峠トンネル喜多方口手前の駐車スペースに車を止める。今日の相方は大○さんだが、飯森山は彼女の地元の山でもある。取り付き点は目の前の急斜面で下部は雪壁になっているが、ツボ足で少し登ってからスキーを履いた。登るラインは雪の状況に応じて選べばいいが、我々は右手の沢寄りに登ることにした。今日は新雪が薄く積もり、急斜面だが比較的登りやすい。すぐ思ったのは樹間が広くブッシュが出ていないということ。この頃の山スキーでは蔵王などのヤブ山が多かったので、新鮮であり感動でさえある。この辺りのブナ林は1度も伐採されたことがないように思われる。ブナと雪に柔らかく包みこまれるような心地よさを感じながら登っていく。やがて2人ともシールにダンゴが付きだした。自分はシールワックスを塗っているのだがそれでも付いてしまう。塗っていない大◯さんはもっと盛大なダンゴになっているので、休憩を兼ねてワックスを塗ってあげる。急斜面と緩斜面を繰り返しながら登っていくのだが、急斜面でジグを切って登っていると単独男性がみるみる追いついてきた。トレースの礼を言われ、お先にどうぞと先行してもらうことにした。好天間違いなしの今日なので、自分と同じように仕事を休んで登ってきたのだという。後でわかるのだが、この男性は小国山岳会のシミケンさんという有名人?の方だった。
 シミケンさんのトレースを追って登るとヤセ尾根に出た。一気に展望が広がる。右前方に鉢伏山が近く見え、その先に真っ白な飯森山が望める。ヤセ尾根をたどり急斜面をひと登りすると1462m標高点で、鉢伏山へと続くなだらかな尾根になる。景色を眺めながら一息入れる。風もなくさりとてジリジリと暑いわけでもなく、快晴で気分の良い別天地である。シミケンさんと話しているうちに3人パーティーになり鉢伏山へと向かう。鉢を伏せたようなつるんとした丸い山頂に到着。シミケンさんはこの辺りの山域を縦横無尽に歩いており、話を聞かせてもらうことができた。周囲の尾根や斜面を眺めるとどこでも滑ることが出来そうであり、実際のところ雪崩や登り返しのことを考えなければどこでも滑ることが出来るだろう。「滑りたい」そんな衝動に駆られる眺めだ。西には飯豊連峰が浮かぶように見えているが、今日は霞がかかり今ひとつクッキリとした姿でないのが少々残念。シミケンさんは鉢伏山までと思っていたらしいが、我々が飯森山まで行くというと同行してくれることになった。
 飯森山まではいったんコルへと降ってから登り返し、ジャンクションピークから平坦な尾根をたどることになるので、滑ることを考えれば飯森山まで行く意味はあまり無い。しかし、1度は雪の飯森山に立ってみたかったし、昨年撤退した栂峰も近くで眺めてみたかった。シールを貼ったままコルへと下降する。コルからの登り斜面東側には雪庇が出来ている。用心して歩いていたつもりだったが、先に2人が歩き3人目の自分が進んだところで突然雪庇が崩壊。右のスキーは宙に浮き、左のスキーで残ったという状態だった。崩壊範囲は幅2m×長さ5m程度だろうか。落ちても高さは無いので怪我はなさそうだが、もし崖であればただではすまない。本当に雪庇は怖い。くわばらくわばらと、さらに雪庇先端から距離を取って登る。やがて3方から尾根が合わせるジャンクションピークで県境尾根となる。さらに尾根を200mほど歩くと飯森山の山頂に到達。1462m標高点からはノンビリと楽しみながら歩いてきたこともあり、出発から約5時間と時間がかかったが、ほぼ計画どおりであり下山の早いスキーなので問題はない。栂峰が正面に近く見えるが、鉢伏山や飯森山と違い山頂部にも針葉樹林が見える。これはツガに似たオオシラビソが生えているのであり、それが栂峰という名称の由来にもなっているようだ。あちらとこちらはこんなに近いのに、植生が何故これほどまでに異なるのか不思議に思う。
 飯森山からは往路を戻る。ジャンクションピークでシールを剥がしコルまで滑降。思ったより雪が良くて快適だ。再びシールを貼り鉢伏山に登り返す。鉢伏山からは東斜面を滑ろうとシミケンさんと意見が一致。今日登ってくる途中に眺めながら、斜度があり面白そうな斜面だなと目を付けていたのだ。小さな雪庇を飛び降りて斜面に立つと一気にスキーを走らせる。雪は少し重いがそんなことは関係ないとばかりに爽快な滑降を楽しむ。
 斜面下部から右方向にトラバースし、シールを貼ってヤセ尾根へと登り返した。上手くやればシールを貼らなくともそのまま尾根に戻れそうなので、次回は試してみたいと思う。ツリーランを楽しみながら下降を続ける。標高が下がると雪がさらに重くなってきた。慎重に滑ろうと声を掛け合うが、樹間が広いので結局そこそこ飛ばしてしまう。何度か転倒もあったが全員無事取り付き点に到着。飯森山山頂からの所要時間は約2時間だった。
 大峠トンネルからの飯森山は、アプローチの歩きも無く国道脇からすぐ登り始められるという、大きな利点のあるルートだった。今回は3月上旬で快晴ということもありパウダーというわけにはいかなかったが、思ったより雪も良くて楽しむことが出来た。何よりブナの疎林のツリーランは、いつも吾妻や蔵王でブッシュの多い斜面を滑っている自分にとっては、まさに天国のような斜面にも感じた。また、暖冬で小雪の今シーズンでも十分な積雪量があり、登れば無木立の斜面が広がるという、山スキーヤーにとっては夢のような場所とも感じた。しかし、それだけに降雪直後や春先の雪崩には十分注意したい。いずれまた再訪したい山のひとつである。
※昨年11月発刊された「山スキー百山」では、このルートの適期が4月上旬から5月上旬とされているが、少なくとも今年はせいぜい3月一杯ではないだろうか。それでさえ下部斜面は厳しいと思うが。(K.Ku)

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