今年は蔵王も残雪が多いので、まだ屏風岳(北屏風)の東面を滑ることができそうに見える。今期はまだ滑っていなかった東面にトライすることにした。早出をすれば半日で可能なので、5月8日まで夜間通行規制(17:00〜翌朝8:00)のエコーラインゲート前の賽の磧駐車場からスタートすることにした。賽の磧駐車場からすみかわスキー場のゲレンデを横切り、澄川を渡って北尾根を屏風岳までというルートだ。時期的に雪切れもある程度は予測したが、まあ大丈夫だろうと安易に考えた。しかし、安易な考えはやはり安易であることを後で知ることとなる。
午前5時には自宅を出たかったが、このところの睡眠不足で朝が辛く6時過ぎになってしまった。まあ仕方ないと賽の磧駐車場に車を停め準備していると、単独のスキーヤーがスタートしていった。ここからスタートする人は珍しいので興味があったが、すぐ姿は見えなくなった。こちらはその男性の20分ほど後にスタート。すみかわスキー場へ向かって歩いていくと、さっそく途中で雪が切れて1度板を担ぐことに。以後は右に左に雪を繋ぎゲレンデを横断すると観光道路に出た。井戸沢への下降は問題なく沢も埋まっていた。続いて澄川へ下降したが斜面は雪切れしていてちょっと難儀した。澄川は埋まっていないので、上流へ遡りスノーブリッジを見つけて渡渉した。斜面に取り付き樹林の中を登り、頃合いを見て左に寄り尾根に出た。
しばらく登っていったが1670m辺りで雪が無くなりヤブに阻まれた。スキーを担ぎブーツでヤブ尾根を進むことははなはだ困難。このまま進むことは断念し、右手にヤブ漕ぎしながら下降するしかなかった。ヤブの濃いところではスキーとストックを前方に放り投げ、あとから体を進めるという方法で前進。結局45分ほどヤブと格闘したあげく、やっとスキーに乗ることができた。疲れてしまい今日は止めようかと心が折れそうになるが、気持ちを入れ替えて前に進む。屏風岳に到着するとスキーヤーが1人いた。話してみると今朝スタート地点で見かけた人で、聖山平リフト沿いに歩いてきたとのこと。なんと自分が今住んでいる地区出身で同じ高校の先輩と分かってビックリ。この時期にスキーで屏風岳というだけでも珍しいのだが、奇遇とはこのことであろう。なお、T田さんというこの方は北稜山岳会所属とのこと。東面の滑降はせずに戻るというT田さんに滑降を見届けてもらうことになった。単独ということもあり山頂直下は避け、北へ500mほど移動したところをドロップポイントとした
東面の滑降に以前ほどの高揚感はないが、気合を入れてフォールラインに体を落とす。スピードに乗ってターンし上を見上げるとT田さんが手を振ってくれた。斜面の雪はザラメで縦溝もなく良好。気温の上昇(平地は25度!だったよう)もあり、滑ったことがきっかけでスラフが雪崩になって流れ下る。想定していたので滑るラインをずらしてやり過ごす。あまり下降すると帰路が辛くなるので適当なところで止める。昼食を取りシールを貼って登り返す。夏道T字路の辺りから北へ夏道を辿るが、樹々や地形に阻まれどうにも歩きにくく体力を消耗する。これはダメだと思い、大幅にルート修正して北尾根下部をトラバースした。標高1380mで北尾根を回り込み澄川へ下降する。今朝と同じ個所で渡渉し、澄川左岸斜面をキックステップで登り返す。観光道路を下降しゲレンデを途中まで登り返して賽の磧駐車場まで戻った。
今回は半日での山スキーのつもりが、かなりの予定オーバーとなってしまったのは自分の読みの甘さだ。時期的なルートの変化に注意が及ばなかった。山スキー8シーズン目だがまだまだである。「急がば回れ」とか「下手の考え休むに似たり」など先人の言う通りだと思うしかない。今度またやるとしたら刈田峠から澄川源頭〜西斜面というふうに素直に登りたい。しかし、変わったことが好きな性分はどうしようもないのでどうなるやら。
※この3日後に地元山岳会の面々が刈田峠からのアクセスで屏風岳東面を滑った。ヤブに惑わされることもなく滑降後に登り返しても半日だったとのこと。やはりそうか…(K.Ku)