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No5741
西吾妻山・若女平
2035m標高点
山行種別 山スキー
にしあづまやま・わかめだいら 地形図

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山行期間 2018年1月13日(土)
コースタイム
天元台湯元駅(7:50,8:18)=リフト終点(9:10,9:33)→凡天岩(11:25)→西吾妻山(11:57)→西吾妻小屋(12:30,13:10)→若女平(16:15)→細尾根(16:50)→小坂(18:35)→西吾妻スカイバレー(20:27)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
天元台スキー場から蔵王連峰が見える 中大巓の直下までリフトで登る ゲレンデトップからスタート
膝ほどのラッセルが続く 鞍部に出ると展望が広がる 凡天岩と天狗岩のある2,044mピーク
凡天岩を目指す トップはラッセルの女王
振り返り見る吾妻連峰の主脈
凡天岩 見渡す限り我々しかいない 西吾妻山へ登る
平坦でどこが山頂か分かりにくい西吾妻山 西大巓 東斜面のシュプール
樹氷の中を西吾妻小屋へ向かう 西吾妻小屋に到着 かなり埋まった登山道標識
若女平へは下りラッセル ほとんど滑りにはならない 昔のツアー標識
若女平の手前でシールを貼る やっと若女平 ついにヘッデン行動になった
藤右エ門沢に架かる橋を除雪して渡る ようやく到着 所用時間約11時間の山行だった

行動記録
 13日は吾妻山の若女平へ向かうことにした。数日前にまとまった降雪があったので柔らかい新雪を滑ることができると期待したのだ。しかし、考えが浅かったことをのちに思い知ることになる。まだ底ができていない雪は深過ぎ、かえって困難となり苦労をすることになった。
 スキーで若女平を下る場合は天元台スキー場を利用する。ロープウェイとリフト3本で楽してゲレンデトップへ登ることができる。料金は2,300円になるが、天元台高原新サポートクラブ(新規4,000円・継続3,500円)に入ると、4回分のチケット(2年間有効)が付いてくるのでリーズナブルだ。自分はアルブ天元台で継続手続きを済ませた。9時20分に標高1,820mのゲレンデトップに到着。我々以外に山に入るのは、山スキーの単独男性のみのようだ。準備しているとM司さんがシールがスキーに貼りつかないという。彼女のシールはコルテックスというノリ(グルー)を使っていないタイプ。見るとシール面に黄色いものが付着していたので聞くと、粘着性を増すものを塗ってきたのだがそれが良くないようだとのこと。黄色いものをスクレーパーとスキーのエッジで削り落とすことにした。しかし、全部は取れないのでテープで巻いて補強することにした。最後まで持ってくれるだろうか。問題があれば行動にすぐ影響を与えてしまう道具類については、新しいものをブッツケ本番で使うのはリスクがあるのでやめたほうがいい。
 やっとスタートすると先ほどの単独男性がまだいる。深雪の単独ラッセルに戸惑っていたらしく、聞くと若女平だという。我々もだというと、ラッセルして先に進む我々の最後尾でついてきた。積雪量は多く、スキーでも膝上から太腿のラッセルとなる。ここの経験者は自分だけということもあり、尾根に出るまでは自分がトップを務める。尾根に出ても風はほとんどない。素晴らしい展望が広がりメンバーは感激の様子。今度は交代でラッセルをしていく。なだらかな斜面を登り梵天岩を経由し、少し下って西吾妻山へと登り返す。M司さんは若いだけあって登りラッセルにも強く「超気持ちいーい」と言いながらぐんぐん登っていく。後続の男性陣は追いつくどころか引き離される始末なので、我々は彼女をラッセルの女王と呼ぶことにした。平坦な西吾妻山の山頂を経由し、北方向へ下り始めると西吾妻小屋がすぐ見えてくる。西大巓の東斜面には何本ものシュプールで、今まさに滑降中のボーダーも見える。
 西吾妻小屋にはまだ誰もいなかったが、昼食を取っていると続々とスキーやスノーシューの登山者がやってきた。グランデコスキー場から西大巓を経由して登ってきたのだろう。ちょっとゆっくりしてしまったので、下山を急ごうということで若女平へと歩き出した。計画より遅れてはいたが、先週7日には若女平を何パーティーか下っている情報も得ており、積雪は増えたがそれほど問題ないだろうとこの時点では考えていた。今思えば小屋での昼食がターニングポイントで、結果論だが予定変更して天元台へと戻るべきだった。ある程度進んだところでシールを外して滑るつもりだったが、底が無い雪でスキーでもずぶずぶと沈むので下りラッセルが続く。斜度が出てきて少し楽になったが、今度は転倒者が続出した。深雪で転倒すると起き上がるのが難しく、体力を消耗し時間がかかってしまう。ひとり転倒するとレスキューなどで10〜15分かかるので、4回であれば1時間くらいはすぐに経過してしまう。とにかく転倒しないようにと呼びかけたが、それでも転倒してしまい時間ロスが積み重なっていく。これはまずいと思ったが、もはや距離的にも時間的にも戻れないので、ひたすらラッセルを続ける覚悟をする。ようやく若女平に入って標識を見つけたのが16時15分。なかなか距離を稼げない現状に、途中で日が暮れることが確実になってきた。もはや焦っても仕方ないと腹をくくることにする。
 雪が良ければツリーランとなる林間も下りラッセルで歩く。急斜面を下った先は細尾根になり、このルートの核心でもある。細尾根は東側が崖に近い急斜面なので明るいうちに通過したかったが、ついに暗くなりヘッデンを点けて通過することになった。行動スピードはさらに低下したが、ここは安全第一でゆっくり通過するしかない。何とか全員無事通過してホッとするがまだ先がある。植林地に入るとラッセルも浅くなり歩くのが少し楽になる。次の核心である「小坂」の急斜面は心配したとおり難航した。ただでさえ急なのにヘッデンでの下降である。深雪のせいでスピードは抑えられるが、転倒するとかなり面倒なことになる。ここでは疲労の色が濃いK玉さんがかなり苦戦した。しかし、ボードの経験はあるがスキーはまだ2シーズン目というM司さんはというと、こんな状況でも楽しそうに皆に声をかけてムードメーカーになっている。本来ならかなりシリアスな場面なのだが、彼女の明るさにパーティー全体が和むことによって、この局面を切り抜けることができたように思う。やっと急斜面を下降しきると残りは500mほどで、トラバース気味に藤右エ門沢へと向かう。藤右エ門沢の橋には、いかにも不安定そうな1m以上の雪が積もっている。渡るしかないので先頭の自分が渡り始めたが、突然足元の雪が崩れて沢に転落してしまった。沢までは3m近くあったが怪我もなく着水。ブーツには水が浸入したが何とか這い上がった。M司さんが橋上の雪を除雪しながら渡り後続も続いた。このアクシデントでも時間がかかり、ようやく西吾妻スカイバレーの除雪終了点に出たのは20時27分だった。
 今回はビバークには至らなかったが、もう少し条件が悪ければそうなった可能性も否めず、自分の状況判断とリスク管理の甘さを痛感する山行となった。まだまだ未熟者であり精進が必要ということだ。自分の過去記録を読み直すと、2013年の若女平でも深雪の下りラッセルで苦労していた。まだ5年前のことなのだが、この経験を忘失していたのは本当の意味で学んでいなかったという事なのだろう。
 さて、今回の各人の状況だが、M戸さんは「ヘッドランプでのスキーは初めてで大変だったが良い経験になった」とのこと。一番大変な思いをしたK玉さんは「景色に心の底から感動、技量の無さを猛省しつつ多くの助けと声掛けにずっと感動、ゴール到着時の安堵と達成感は何ものにも代えがたい、またこの素晴らしい世界に同行したい」とのこと。M司さんは「それほど疲れもなく楽しかった」とのことで流石です。スキー上級者のF井さんにはサポート役に徹してもらい助かった。ずっと最後尾でついてきた単独男性(仙台のI崎さん)には、転倒者の救出などで随分と手伝っていただき感謝。彼の感想も「楽しかった」だった。いやはや皆さん大したものだ。(K.Ku)

.ルート図 登り=赤 下り=青
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、 第353号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。

トラック 登り=赤 下り=青

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