Fukushima toukoukai Home page
No5786
吾妻山
高山 1805.1m三等三角点峰
山行種別    山スキー
あづまやま 地形図

トップ山スキー>吾妻山

山行期間 2018年3月11日(日)
コースタイム
五色温泉(5:25)→四郎右ェ門沢(7:21)→東海大緑樹山荘(8:30)→家形山避難小屋(9:40)→五色沼コル(10:06,10:18)→一切経山西側コル(11:03)→鎌沼横断(11:30~11:40)→昼食(11:42,12:00)→スカイライン(12:23)→鳥子平(12:36)→高山(13:26,13:36)→細尾根・通称フンドシ(14:11)→林道(14:35)→不動湯十字路(14:53)→駐車地点(15:07)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
五色温泉宗川旅館の下を回り込む 古い標識があちこちに残っている 家形山(中央)が見えてきた
「五色~沼尻コース」のツアー標識 右に見えるのは高倉山 これも「五色~沼尻」のツアー標識
ニッポンビールのツアー標識 蟹ヶ沢右俣の左岸を下降 東海大緑樹山荘
スキーを担いだ森○さん ガンチャン落としを登る 五色沼を回り込んで一切経山へ
高山が見えてきた 前大巓 東吾妻山と鎌沼
鎌沼を渡る 磐梯吾妻スカイラインに出る 鳥子平からの高山
高山の山頂には反射板がある 箕輪山を正面に滑り降りる 土湯~高山のコース標識
フンドシと呼ばれる細尾根 ザラメになり滑りやすくなった 最後は林道歩き

行動記録
 吾妻には日本で最も古い時代に開かれたツアールートがある。いわゆるクラシックルートというものだ。スキーが山を歩く道具そのものだった頃から、数十年前まではよく歩かれていたのだと思う。しかし、今となってはほとんど歩く人もいなくなってしまい、忘れ去られつつあるルートなのだ。自分はそんなルートを歩くことにこだわっている。単なるノスタルジックなのかもしれないが、無くなってしまうのが惜しいと思うのだ。今回は以前から考えていた五色温泉からの高山下りを歩いてみることにした。縦走になるので相方かサポートがないと難しいのだが、今回は森○さんが相方になってくれたのでトライすることができた。
 2時45分、自宅を出る。早朝というよりもまだ深夜である。昨日からの喉の痛みが気になるが、熱は無いようなので大丈夫だろう。高速も使い土湯温泉には3時53分に到着した。既に着いていた森○さんと合流し狭い道を登っていく。林道入り口前の道路脇のスペースに1台デポして取って返す。五色温泉手前にある道路脇の駐車場所には5時08分到着。
 5時25分、準備を済ませて忘れ物がないか確認しスタート。まだ暗いが歩ける程度には見え始めてきた。いつもは五色温泉スキー場跡から登るのだが、今日は何となく夏道ルートを辿ってみたくなった。温泉の建物を右へと回り込んで斜面に取り付くと、エッジも立たないほどカリカリに凍っている。先日の雨の影響だ。仕方なしに取り付きの急斜面をスキーを担ぎキックステップで登る。その後は斜度が緩むのでシール登高だが、相変わらずのカリカリ斜面である。何度も歩いたルートだが、なぜか少し外したりしつつも修正して歩いていく。このルートはクラシックルートだけあって所々に古いツアー標識が残っているのだが、見つけると森○さんは嬉しそうにカメラを向ける。自分も好きだがこうも喜んでくれる人はそうはいない。スタートから50分ほどでコルを越えると家形山が見えてくる。この先は夏道とは離れた冬季ルートを歩いていくことになる。標識も確認しながら歩いていくが、数は多くないので地形図とGPSは必携である。右手前方には高倉山が近づいてくる。
 7時21分、四郎右ェ門沢を渡るが、すっかり埋まっているので何の問題もない。沢のすぐ手前に鉄板で作った「五」と「沼」の標識がある。五色温泉~沼尻温泉のツアールートであることを示す標識である。歩いていくと「ニッポンビール」の標識もある。ニッポンビールは1964年に社名変更でサッポロビールになっているので、少なくとも54年以上前のものということになる。当時はどんな人たちが歩いていたのだろうかと思いを巡らすのも楽しい。蟹ヶ沢右俣の手前にも「五」と「沼」の標識がある。この標識を見ると東海大緑樹山荘は遠くないとわかる。この沢は高さがあるので渡渉がポイントになる箇所だ。今年は積雪十分で問題ないが、雪が少ないと沢が口を開けていて渡渉に苦労する場合もある。今回はガリガリの急斜面下降に気を使った。沢を越えて少し進むと3つ目の「五」と「沼」の標識があった。
 8時30分、東海大緑樹山荘に到着。この小屋は一般解放されていないが、目印になるのでいつも立ち寄ることにしている。スタートして3時間経過。休憩とも思ったが森○さんは全然余裕なので進むことにする。小屋から先は地形図では大したことないのだが、実際はそこそこの斜度がある急斜面になる。カリカリ斜面なのでかなり手こずったが何とか登る。森○さんは途中でスキーを担いでアイゼンで登ってきた。ふと気づくとルート上にある目印の布が見当たらない。東海大緑樹山荘と家形山避難小屋の間には、東海大学ワンダーフォーゲル部の赤布と慶応吾妻山荘の大柿さんの緑布が毎回必ずあったのだ。しかし、今年はどちらもないのだ。あっても色あせた古い布が見つかるだけなので少々気になる。もうそろそろ家形山避難小屋のはずだと思いきょろきょろすると、既に脇を通り過ぎて少し上に出ていた。そのままガンチャン落としを登り始める。森○さんはずっとスキーを担いでいるので、そのままアイゼンでスタスタ登っていく。自分はシール登高を試みるがやはり無理だと悟りスキーを肩に担ぐ。キックステップはいくらも雪面に刺さらないが、何とか落ちずに登った。
 10時06分、五色沼コルに到着。まずまず計画どおりだ。ここは強風地帯なのだが、今日は嘘のように穏やかである。まさにツアー日和といえる。家形山の下をトラバースしていると山頂に人影が見えた。昨日今日と、天元台から登り吾妻連峰を雪洞縦走してきた我が会のパーティーだ。手を振って挨拶し先へと進む。雪の付いていない一切経山を左に見ながらコルに出ると高山が見えてきた。前大巓の方に回り込んでいくと正面に東吾妻山と手前下に鎌沼の景観が広がる。東海大緑樹山荘からここまでスキーを担いできた森○さんがザックを降ろした。鎌沼まで滑ろうということらしい。自分はシールのまま下降することにする。水を得た魚のように森○さんが滑り降りていく。鎌沼は凍結しているので氷上を歩いてショートカットする。渡り終えたところで昼食にしたが、食べていると雲行きが怪しくなってきた。山の天気は分からないので先を急ぐことにする。磐梯吾妻スカイラインまで最短ルートを狙うと、うまい具合に橋の手前にすんなり出ることができた。スカイラインを少し歩いて鳥子平に到着。のっぺりした高山の北東面を見上げる。山頂まで200mの登りである。体調が今一つなので森○さんに先行してもらう。足が重くてペースは落ちるばかりだ。7年前の高山でも登りで不調だったことを思い出す。
 13時26分、高山山頂に到着。登りが辛くて森○さんに10分以上遅れてしまった。正面には箕輪山が近い。ここからがいわゆる「高山下り」になる。スタートからずっと貼ったままだったシールを剥がす。自分は久しぶりであまり記憶もないので、今シーズン高山は3回目という森○さんに先行してもらう。しばらくは固い雪面に足の疲労が増すような感じだったが、標高を下げるにつれて少しずつ緩んできた。1,300mまで下げるとザラメの快適な雪質になった。雪も変わると印象もガラッと変わる。今日初めての滑降らしい滑降であり、ツリーランを楽しむことができた。林道に出てショートカットしながら下り、平坦になったところで「3.11」の黙とうを行う。7年前の今日は東日本大震災だったのだ。滑らない雪に疲れを感じながらも最後のスパート。かなり融けているところもあったが、ギリギリ雪を繋いで最後までスキーで下る。今朝の駐車地点に15時07分到着。森○さんと握手を交わす。
 車を回収に五色温泉に向かったが、到着したのは午後4時を結構すぎていた。ダメもとで聞くと入浴可能とのこと。ありがたくゆっくりと汗を流させていただいた。長い距離を歩く場合やはり縦走は充実感がある。単独ではなかなか難しい縦走だが、相方がいれば可能性は広がる。あれこれ頭の中でルートを考えるのも面白い。なお、森○さんはこれで3週連続で吾妻の20km超のロングルート(前の2回はピストンだが)を歩いたことになる。大平ルートと大沢ルートである。いやはや何とも凄い人だ。(熊)

.ルート図 登り=赤 下り=青
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、 第353号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。

トラック 登り=赤 下り=青

 トップ



Copyright(C) 2018 福島登高会 All Rights Reserved.