午後から所用があり昼までに帰宅しなければならない制約がある日曜日、地元の蔵王・屏風岳に向った。しばらく降雪もなく気温が低めの晴天との予報に固いバーンが予測された。東面の滑降は厳しいかもしれない。スタート地点の東北大学蔵王観測所までの道にはまったく雪がなかった。観測所前でやっと現れた残雪にホッとする。歩き始めてすぐ雪が切れたがその後は繋がった。晴れて冷え込んだ朝で雪面は固くガリガリである。林道なりにしばらく歩くと斜面に取り付く。登って来た朝日を背に浴びて気持ち良く林間を登っていく。スタートから歩くこと2時間弱で秋山沢の枝沢に入る。沢なりに登るが急な個所では固い雪にやや手こずる。やがて開けて屏風岳の東面が見えてくる。稜線への急斜面に取り付くと1,600mでキックステップに切り替えた。日が当たっても雪は緩まず固い。うかつにもピッケルは持ってこなかった。ストックのリングを外し深く突きさしながら登高することにした。慎重に登り稜線に出てホッとする。風もほとんどなく穏やかだ。
斜面の状況を観察しながら南へ移動して屏風岳の山頂を踏む。快晴で遠望が利き名だたる山々が眺められる。山頂手前の斜面には昨日のものとおぼしきスキーの滑降跡があった。今日の雪の固さで同じ斜面を滑るにはかなりリスキーだろう。単独でもあり無理はせずに戻って比較的易しい斜面を滑ることにした。少しでも雪が緩めばとドロップポイントで早めの昼食を取る。滑降を始めると斜面は固く全然緩んでいないのでスキーの跡も付かないほどだ。ガリガリと音をたてながら300mほど下げるといくぶん雪が緩んできた。ひと息ついて振り返るとほとんどシュプールは付いていない。その後はほぼ往路をたどる。下の方は少し緩んだ雪面に板が走る。ほぼ計画どおり車に到着し午後からの用事に間に合わせた。
さて予想はしていたのだが雪が急速に消えつつある。雪がかなり少なかった昨年の同時期よりさらに少ないようだ。例年からすれば1カ月ほど早い感じさえする。1週間後はスタート地点からしばらくスキーを担ぐことになるだろう。近年は降雪量も少なく気温も高くなっているので雪消えが早いように思える。特に平地では朝冷え込んでも日中気温が上昇するので雪は融けてしまうのだ。厳冬期が終るといきなり春になり中間の過渡期間がほとんど無い感じがする。確実に気象が変化してきているようだ。(熊)