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No.3801 |
疣岩山 | 1653.5m三等三角点峰 | ||||
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山スキー | ||||
いぼいわやま | ![]() |
大日岳 |
■山行期間 | 2005年12月29日〜30日 |
■コースタイム | 12月29日 弥平四郎口(6:15)→祓川山荘の看板(7:50)→940m付近小ピーク(9:05)→1250m付近小ピーク(10:30)→松平峠(11:40)→稜線(15:15)→疣岩山(15:40)テント泊 12月30日 疣岩山出発(6:40)→引き返し(7:00)→テント撤収後再出発(7:50)→松平峠(9:20)→1350mトラバース終了(10:40)→1038m小ピーク(11:40)→看板(13:55)→弥平四郎口(15:00) |
■写真 |
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林道は思ったよりも雪が少なか った |
半分埋まった看板、この先の支 尾根から降りて沢を渡る |
祓川山荘へは向かわず、尾根 に取り付く |
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長坂峰のトラバース | ようやく松平峠を通過する | 雪の中、厳しいラッセルが続く |
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大斜面の登り | 空身でも雪庇の乗り越しは厳し い |
疣岩山山頂付近にテントを張る |
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悪天候で前進をあきらめ疣岩 山をトラバースしテンバに戻る |
昨日抜けた雪庇から注意して 降りる |
一時的に現れた晴れ間の中、 大斜面を下る |
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つかの間の晴れ間に笑顔も浮 かぶ |
青空に映える雪の花 | 松平峠から望む稜線 |
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長坂峰からの稜線を歩く | 長坂峰からの稜線と下る支尾 根の合流地点 |
登山靴でこれだけ滑れればどこ でも行ける? |
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慣れない登山靴での滑りで苦 労するのも良い経験 |
ようやく林道に到着 | 暗くなる前になんとか部落に到 着 |
■行動記録 |
2005年の締めくくりに飯豊山に登ることにした。当初は川入りから剣ヶ峰を経て三国小屋泊、本山往復を考えていたので11月中に小屋へたっぷりの食糧を荷揚げしていた。しかし、一ノ木から川入りまでの道路が除雪されないとのことので、弥平四郎口から登る計画に変更となった。テントを担いで登り松平峠に一泊して三国小屋まで行く予定だが、状況がよければ初日で三国小屋に入って本山往復を目指す。 この冬は20年ぶりの大雪だそうで12月だというのに奥会津は1m近い積雪になっている。スキーで登るとしてもかなりのラッセルになりそうだ。かつての厳冬期の飯豊の雪深さを経験している会員からは、稜線にタッチで終わりじゃないかと揶揄されていた。 12月28日夜、今年一年間の仕事を終えて早々に福島から西会津町へ車を走らす。リーダーのKさんと都職山の会のYさんがすでに到着し、弥平四郎集落近くに張ったテントでくつろいでいる。4日前に偵察に来た時よりも積雪は少なくなっているし、天気も期待できそうだ。本山到達への意欲が湧いてくる。 <12月29日> 曇りのち雪 地元の人の指示で集落の一番奥に車を停め、まだ明けやらぬうちから歩き始める。テントなどの共同装備を加えたザックは20s以上でずしりと肩に重いが、気持ちは乗っていて林道を軽快に進む。しばらく道は平坦で、雪は脛までのラッセルだ。ヘアピンカーブが二つ続く箇所、右岸へ渡る橋、祓川山荘の看板とそれぞれの間を30分くらいで通過する。看板からは右前方の小尾根を下り、沢に架かった橋で左岸へ渡る。橋は雪で幅があるように見えるが実際には細いので中心を踏み外さないように注意する。対岸の小尾根も細く両側が急傾斜なので慎重に切り返して登る。 すぐに長坂峰へ続く尾根の始点に行き当たるのでそのまま取り付く。祓川山荘へ向かう場合は尾根の西側の林間を北上する。太いブナの木が生えた尾根は十分に幅が広く、また、10日ほど前はひどい状態だった薮も雪にだいぶ埋まっていて登りやすい。940m付近、1038m、1250m付近と小さなピークで位置を確認できるが、予定よりも速いペースで高度を稼いでいる。 長坂峰は踏まず、1300mまで登ったら西斜面をレベルで松平峠まで巻く。高度とともに徐々に雪が深くなってきていたが、トラバースに入ると膝上までのラッセルになる。息が上がりペースが落ちる。長坂峰の直下でくの字に折れる辺りから斜面が急な箇所が多くなるので雪崩に注意しながら進む。表面20〜30cmはさらさらと崩れやすいが、はっきりした弱層はないようだ。結局、松平峠までのトラバースに1時間かかってしまった。 それでも判断基準としていた正午前に到着したので、小休止してから三国小屋を目指して突っ込むことにする。1352m小ピークを越えると微かに稜線とそこに張り出した雪庇がうっすらと見え隠れするようになる。しかし、斜度が上がり樹林が切れるといよいよ雪は深い。空模様は雪に変わっていて、静々と降り積もる湿雪がラッセルを深く重くしているようで恨めしい。重装備で腰下のラッセルとなると力を振り絞ってもどうにも遅々とした歩みとなる。最後の標高差100mはわかんでのラッセルのように先頭が空身になってルートを切り開いていく。Tさんの馬力に大きく助けられようやく雪庇の下まで辿り着いた。雪庇を乗り越える箇所はすぐに見つけたが、先頭を行ったMが斜度を殺そうと少しだけ外側を踏むと前方10m以上が一瞬にして崩壊してしまった。かなりの量のブロックが落ちたが、雪崩にはならなかった。ヒヤッのちホッ。 稜線上に出たのが15時過ぎ。しかし、風はそれほど強くなく、雪は脛まででこれまでからするととても軽く感じる。テントを張るよりも三国小屋を目指したほうが楽なのではないかと一度は歩き始めたが、重荷、早朝からのハイペース、稜線までのラッセルで消耗は激しく、メンバーの足並みも乱れてきたのでこれ以上進むことは断念。疣岩山山頂近くのダケカンバの木の脇にテントを張った。 <12月30日> 曇り時々晴れ 山行前の天気予報では今日は移動性高気圧がかかって天気がよくなるはずだったが、昨夜のラジオによると低気圧が急接近して今日の夕方から平地でも天気が荒れるらしい。テントはそのままに三国小屋往復して食糧を補給、テントをたたんで祓川山荘まで下りるつもりで歩き出す。しかし、風はまだ強くないが、うっすらと見える三国小屋は遠く、アップダウン、場所によって深い雪、昨日の疲れ、そして午後になると一気に下り坂になりそうな天候から、時間的に難しいと判断し、疣岩山からコルへ下りきらない地点から引き返す。テントを撤収し今日中に下山することにした。 昨日苦しんだ稜線下の斜面は新雪ですばらしい斜面だが、重い荷物と足首上の固定性のない登山靴のため滑りを楽しむどころではない。起き上がるのに大きな労力を使うのでできるだけ転倒しないよう気をつけながら、それでもバランスを崩して雪だるまのようになりながら下っていく。擬似好天で青空になり、振り返れば真っ白な雪に覆われたスケールの大きな山々の起伏に目を奪われる。本山はおろか三国岳にも到達できなかったが、この奥深い雪山に踏み入っていることに他では得がたい充実感を覚える。 松平峠からのトラバースはトレースが残っていたので楽に歩くことができた。1300mトラバース終了地点から下のブナの木の尾根も日帰り装備の兼用靴で滑りに来れば楽しい場所とのこと。最後の林道歩きまで疲れたが天気が崩れる前に弥平四郎に帰り着いた。メンバーの滑降技術によって大きく変わるが、今回の装備と条件では下山にもかなり時間がかかり、結果的に三国小屋を往復する時間的余裕はなかったようだ。(J.M) |
■概念図 |
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