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No.4652
南屏風岳 1810mピーク
山行種別 無雪期一般
みなみびょうぶだけ 地形図

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山行期間 2012年6月23日(土)
コースタイム 白石スキー場(13:35)→コガ沢渡渉(14:50)→水引入道(15:31)→登山道分岐(16:16)→南屏風岳(16:34)→不忘山(16:57)→白女高小屋跡(17:55)→白石スキー場(18:10)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
夏さえ感じるゲレンデ お手製看板の先に草刈ロード 権現沢へと降りる
対岸をコガ沢へと回り込む コガ沢へと降りる 対岸の急登のクサリ
水引入道の山頂は平坦 山名板(Sさんお手製) 水引平のチングルマ
水引平の池塘 稜線のアヅマシャクナゲ 不忘山手前の細尾根
ミヤマオダマキ 下界は晴れている 不忘の碑の分岐

行動記録
 白石スキー場を起終点にして、水引入道〜南屏風岳〜不忘山〜白石スキー場と周回できる。もちろんその逆も歩けるのだが、コガ沢から水引入道への急登を登りに使いたいので左回りに歩くことにした。平地は晴れて良い天気だが、蔵王の上の方は雲の中で稜線は見えない。
 自宅出発は午後1時を過ぎてしまったが、日が長いこの時期は行動時間も長く取れるので問題ないだろう。白石スキー場には20台ほどの車があり、そこそこ登山者が入っているようだが、この時間から登ろうという人は自分だけ。ザックに水1リットルを入れる。足りないようであればコガ沢で補給だ。
 草刈りされたばかりの白石スキー場ゲレンデを歩く。2ヶ月ほど前にはスキーをしていたのがずいぶん前のように感じる。季節の移り変わりの速さには驚くばかりだ。50代も半ばに近づいたせいか、季節の変化についていけなくなってきたような感じがする。むっとする草いきれのゲレンデを歩くと、もう夏も近いのだなと思わずにはいられない。
 しばらくゲレンデを登り、真新しい「水引コース」の木製看板を見送ると、右手の林が登山口になる。樹林の中は照りつく太陽からは解放されるが、風が通らず蒸し暑い。登山道はコガ沢右岸の急斜面をへばりつくようにトラバースしていく。もともと木の根を越えたり、崩落箇所を巻いたりと細かいアップダウンの多い道だが、さらに4月の強風のためと思われるさらに倒木が行く手を阻み、潜ったり跨いだりと忙しい。倒木を巻くときは急斜面ゆえ注意したいところだ。下山してきた単独と4名の2パーティーとスライドする。盛大に汗をかき始めると、今度は小さな虫がまとわりついてくる。口を開けて呼吸しているものだから、なにを考えたか口に飛び込んでくるやつがいる。2匹も呑み込むハメになってしまった。
 やがて道はコガ沢と権現沢の出合のすぐ上で権現沢に下りる。権現沢への急斜面には真新しいクサリが付けられていて、素直にお世話になる。以前単独で初めてここに来たときは、沢の向こう側の道が見つけられず右往左往したことを思い出す。まさか滝の落ち口の左岸を向こう側へ回りこむとは、当時の自分は思いもしなかったのだ。権現沢を渡渉して右から回り込むと、そこはコガ沢の右岸になり、こちらにもしっかりとクサリがある。コガ沢を渡渉すれば急登の取り付きだ。この取り付きは崖に近いのでここにもクサリがある。時折よじ登るような箇所のある急登がしばらく続き、一気に標高を300mほど上げる。
 急登が終わると同時に樹林帯を抜けザレ場に出ると、水引入道の山頂も近い。不忘山も南屏風も山頂部は、ガスが西からこちら東側へと流れていて見えない。風が冷たく半袖では肌寒いくらいだ。
 水引入道の山頂ではSさんお手製の山名板が出迎えてくれる。山頂を過ぎたあたりで初めての休憩。水とカロリー補給をしていると登ってくる単独男性あり。千葉の方で山スキー談義でしばし盛り上がる。主稜線との鞍部にある水引平では、チングルマがいい感じに咲いている。
 登り返して主稜線の尾根道に合わせると、アヅマシャクナゲが迎えてくれる。しかし、先日の台風のせいだろうか、シャクナゲの花びらは痛んでいるものが多かった。しばらくはガスの中、平坦な尾根道を歩くとシャクナゲ、イワカガミやチングルマが目を楽しませてくれる。
 南屏風岳の山頂を過ぎると、不忘山へのアップダウンの尾根道となる。こちらはチングルマに代わりハクサンイチゲがほとんどになる。登山道は所々崩れているところもあり、石車に乗って転倒などしないように注意したい。急なところには真新しいクサリも張ってある。相変わらずガスの中なので、楽しみは道の脇に咲いている花々だ。不忘山頂手前でミヤマオダマキが咲いていたが、この日に見かけたのはここだけだった。昨日登った不忘山頂を通過すると、あとはひたすら下るのみ。
 不忘の碑から左に折れ、弘法清水コースへ入ると道が荒れてくる。自分がこのコースをあまり歩かず、硯石コースをよく登るのは登山道が荒れていることがある。関係者の努力により修復作業が繰り返されたようだが、もはや修復しきれない状況になっているような気がする。沢状になったところも多く、いつもぬかるんでいてとにかく滑りやすい。特に赤土はまるで氷のようにツルツル滑って始末が悪い。土には登山者の滑った跡がそこかしこにある。自分も尻餅こそつかなかったが、何度か足を滑らせ手をついた。転倒を防ぐにはチェーンスパイクなどを装着するのもいいだろう。しかし、それ自体が登山道をさらに削り、状況を悪化させるような気もする。なので自分は使わないが、他人が安全のために使用するのまでどうこう言う気はない。ちなみに自分はこの3日間の足元はゴム長靴だ。蔵王のような山はゴム長でほとんど間に合う。スパイク長靴というのもあるが、積雪期以外は必要ないだろう。もはや登山道の修復が困難とすれば、道を付け替えるしかないのではないだろうか。既に一部そうなっているところもあるようだ。あるいは余りの悪路に登山者が減れば、それが結果的に登山道の悪化を防ぐことになるのだろうか。難しい問題だ。
 そんなことを考えながら下山すると、白石女子高等学校の山小屋跡に出た。女房は高校時代に泊まったというが、今はただの平地で看板があるからそれとわかるだけだ。台風の大雨でえぐれた跡の残るゲレンデを歩いて駐車場に到着。登山者はほとんど帰ったようで、自分以外には2台しか残っていなかった。
 白石スキー場を起点として周回のできるこのコースは、1日かけてゆっくりと歩きたいコースだ。これからはヒナウスユキソウ、トラノオ、シャジンなどの花が目を楽しませてくれるだろう。右回り左回りどちらでもいいのだが、水引コースの急斜面は登った方が楽しいと思う。水場は水引コースの沢沿いにしか無いので、夏場は十分な量を持参されたい。自分はこの日500mlで足りてしまったが。虫対策はどこの夏山でも同じことなので工夫されたい。普通の登山道で飽き足らない方には面白いコースだと思うがいかがだろうか。(K.K)

概念図

トラック 登り=赤  下り=青


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